043 約束 ページ43
.
「約束だよ。10年後の約束。」
大貴「Aのにも書いてあんの?」
「うん。わたしの日記はもっと早くに終わっちゃうから、ほら、ここに。」
自分の日記を開き、しおりとして使っているメモを見せた。
「大貴くんの中から、わたしに関する記憶は消える。だから最後のページも、きっと白紙に戻る。」
大貴「え?」
「わたしの中からも、このタイムスリップに関する記憶は消える。だから半年間この日記に書いたことも、このメモも、きっと白紙に戻る。」
大貴「、」
「そもそもニューワールドだってなくなる。だから会えないかもしれない。だけど……」
それでも、この出会いに意味はあると信じたかった。
何もしないよりはいいって、わかったから。
大貴「いいよな。俺たちが信じてれば。」
「……うん。」
お互いに、どこかの誰かと恋に落ちても、この約束だけは果たせたらいいな。
・
好きな人と、同じ気持ちでいられることがこんなに嬉しいって、大貴くんに会って初めて知った。
8年後の世界に戻って、そこにいる大貴くんに会ったら、どんな顔をするんだろう。お互い知らないまま、いつかの映画のようにすれ違うだろうか。
でも、タイムスリップのことを話せてよかったと思う。あのまま黙っていたら、こんなに素敵な時間を過ごせなかったかもしれない。
記憶に残らなくても、あなたに出会えて、好きになれてよかった。
……そう思ってるよ。
・
「じゃあ、もう時間だから。」
大貴「どうやって未来に帰るの?」
「わたしもわからない。ある人が迎えにくるの。」
大貴「そっか。……じゃあ、元気でな。」
霞みそうになる視界。でも泣いちゃだめだ。そう思って下唇を噛み、大貴くんのほうに視線を移すと、後ろのメリーゴーランドに負けないくらい、大貴くんの笑顔が輝いて見えた。
何度も何度も振り返るわたしに、微笑みながら手を振ってくれる大貴くん。
真っ暗な遊園地の中を、出口に向かって歩いていく。
振り返っても見えないところまで来て、糸が切れたように涙がどっと溢れた。
.
886人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いく(プロフ) - パレードが始まるが頭の中に流れました!!ステキなお話をありがとうございます。 (2020年8月9日 10時) (レス) id: bf142477e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - むぎさんの作品まじで大好きです。何億回でも読めます。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 62a0eb8cec (このIDを非表示/違反報告)
じゃん - 受験終わったあとの楽しみにしてて、今日読み終わりました。相変わらずむぎさん最高すぎます。大好きです。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c5e964fc3 (このIDを非表示/違反報告)
梨(プロフ) - 好きすぎました!!めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃドキドキしたし有岡くんが有岡くんで、このお話大好きです! (2020年3月14日 16時) (レス) id: d970aa184c (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。(プロフ) - 完結おめでとうございます!めちゃくちゃ幸せでした!またいつか機会があれば、未来に戻ってから結婚までのお話も気になるので、読めたら嬉しいな〜と思いました! (2020年1月1日 13時) (レス) id: f99e88b778 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:むぎ | 作成日時:2019年12月1日 12時