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053 キュ、キュ ページ4

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焦るわたしに、奥からやってきた橘先生が言う。









橘「現場で針刺し事故があったんだ。それも患者に使用した針だ。その患者は感染症の疑いがあって、もちろん血液が触れた名取も可能性はゼロじゃない。まだ検査中だが、名取も一応隔離してる。」





「………はい、」





橘「B8にいるよ。だけど、君は妊婦だから、たとえ防護具をつけたとしても中には入れられない。」









………そうだよね、

そんなことわかってた。わかってたけど、会えなくてもいいから、近くにいきたい。声が聞きたい。安心したい。









白石「ドア越しに話す?」









こくり、と頷いたわたしにティッシュを渡してくれる白石先生。息の上がっているわたしを心配して、車椅子を持ってくるように言ってくれた。









白石「伊野尾くん、連れてってあげて?」





「あ、大丈夫です。ひとりで行け、」





白石「だーめ。」









甘えなさい。

そう言って笑ってくれる白石先生。手の空いていた伊野尾くんが後ろに回って、ゆっくりと押してくれた。









伊野尾「びっくりしたよね、ごめんね。」





「ううん、教えてくれてよかった。ありがとう。」









キュ、キュ、って伊野尾くんのシューズが床を鳴らす。

無機質な白い廊下を、何を話すでもなく車椅子で通り過ぎた。今頃どんな気持ちでいるんだろう。ひとりで寂しかったりするのかな。それとも強がって、みんなを寄せ付けないようにしてる?余計な心配かけないように、わたしにだってずっと黙ってるつもりだった?









「…………そ、……名取先生。」









コンコン、とノックしたあとに、そっと呼びかけてみた。

いいよ“颯馬”で、ってふにゃふにゃ笑いながら、席を外してくれる伊野尾くん。病棟の端っこ。ほかに患者さんも見当たらないこの場所は、









名取「おま、………なんでいんの。」









ほんとうに静かだった。









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しゅあ(プロフ) - 初コメ失礼します!もうハッピーエンドで安心致しました。うるうるしながら最終的に号泣でお話読んでました!最後の救命メンバーからの一言には少しクスッとしてしまいました(笑)本当にこの作品作って下さりありがとうございました! (7月23日 0時) (レス) @page50 id: d9ff4faa7c (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - 多分初めてコメントをすると思います!既に何回か読んでます!いつ読んでも感動しますし引き込まれます!山田先生も好きだったんじゃ…?って毎回思うのですがそこはもうそう思ってしまっていいのでしょうか(^ ^)?わら 続編書く気になりましたら楽しみにしています! (2022年5月22日 1時) (レス) @page50 id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
- 復帰するお話が見たい (2021年4月18日 2時) (レス) id: 5513b83dfa (このIDを非表示/違反報告)
知念菜々(プロフ) - 完結おめでとうございます!!続編で育休が明けて病院に復帰する話が見てみたいです! (2020年2月9日 16時) (レス) id: 70738b0893 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか - 最後、なにがあっても幸せな形で終わる、です!誤字りました、、すいません、、 (2019年11月17日 23時) (レス) id: db28430fd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぎ | 作成日時:2019年1月19日 12時

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