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070 妻だけじゃない ページ21

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名取side









伊野尾「…………嘘でしょ、」






名取「いや、嘘じゃない。実家に帰るって、さっきメッセージ入ってた。」









何冷静になってんだよ俺。一番焦ってるくせに。淡々と伊野尾に告げる俺の言葉を、その場にいた全員が聞いていた。わかりました、と受話器を置いた白石先生が、次々と指示を出す。続々と走り出すみんなの背中を、何故か呆然と眺めていた。足が動かない。Aは?お腹の子どもは?無事なのか?俺のせいでAは、









藍沢「何突っ立ってるんだ。」





名取「…………、」





藍沢「指示された通りに動けないなら、」





名取「前にもこんなことがあった時、藍沢先生俺に言いましたよね。現場に行って役に立たないくらいならここにいろって。俺、今現場に行っても……」





藍沢「じゃあここで待つのか?」









ぐさ、と胸に刺さるような一言。いつでも冷静な藍沢先生は、こういう時でも頭の回転が速い。









藍沢「お前の妻以外にも負傷者は大勢いる。行かないのはお前の勝手だが、お前が現場に行かなければ、助からない命だって出てくる。」





名取「でも……」






藍沢「お前だって、あの時俺に言ったろ。」






名取「……え?」






藍沢「自分が助けるから行かせてくれって。命に代えてでも守りたいって。それに今は、妻だけじゃないだろ。」









ドン、と強く背中を押されたような気がした。

こんなところで何をしている?と自分に問いただすように、俺の足はみるみるうちに動き出し、気づけば走り出していた。ヘリに向かって、一直線に。ひとりで向かうんじゃない。ちゃんと仲間だっている。必ず助ける。Aも、お腹の子も、俺が守るって決めたんだ。









緋山「遅い。」





名取「すいません、」









ヘッドセット、早く。

いつものように、厳しく声をかけてくれた緋山先生。変わらないその態度が嬉しかった。大丈夫、きっと助かる、そう言ってくれているみたいな強い目で。









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しゅあ(プロフ) - 初コメ失礼します!もうハッピーエンドで安心致しました。うるうるしながら最終的に号泣でお話読んでました!最後の救命メンバーからの一言には少しクスッとしてしまいました(笑)本当にこの作品作って下さりありがとうございました! (7月23日 0時) (レス) @page50 id: d9ff4faa7c (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - 多分初めてコメントをすると思います!既に何回か読んでます!いつ読んでも感動しますし引き込まれます!山田先生も好きだったんじゃ…?って毎回思うのですがそこはもうそう思ってしまっていいのでしょうか(^ ^)?わら 続編書く気になりましたら楽しみにしています! (2022年5月22日 1時) (レス) @page50 id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
- 復帰するお話が見たい (2021年4月18日 2時) (レス) id: 5513b83dfa (このIDを非表示/違反報告)
知念菜々(プロフ) - 完結おめでとうございます!!続編で育休が明けて病院に復帰する話が見てみたいです! (2020年2月9日 16時) (レス) id: 70738b0893 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか - 最後、なにがあっても幸せな形で終わる、です!誤字りました、、すいません、、 (2019年11月17日 23時) (レス) id: db28430fd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぎ | 作成日時:2019年1月19日 12時

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