スクラブ男子 2nd season

033 醜い ページ33

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名取side









はぁ最悪。もう最悪。最悪最悪。

なんだよ俺。こんな強引に引っ張って……









｢ちょっと…、｣









そりゃ、Aの体のこと考えられる頭はまだあるから、そんな強い力で無理やり手引いてるわけじゃないけど。

後ろで小さな声が聞こえるたびに、それを聞き流すたびに、自分の黒い部分が浮き彫りになって見えてくるようで。さっきまであんな冷静だった自分が嘘みたいに、気づいたらAのこと連れ出してた。







Aが持ってきたお菓子を開けてワイワイしてるみんなから離れて、2人だけの世界ができてるみたいに見えて。岡本と楽しそうに話し込んでるの見て、自分の中で何かが弾けたように、動き出した足。

結局、連れてきたのはあの日と同じ倉庫。棚に囲まれたこの狭いスペースで、最低なことをしたあの日。全てが狂って、喧嘩して、やっと思いを打ち明けられたのはお互いが死にかけた時だった。こんな状況にまでならないと言えねーのかって自分にも呆れたし、それと同時に救いたい思いが強くて、自分がどれほど想ってるかって、はじめて知った。









こんな、醜い嫉妬。

認めたくないけど、2人の間にそれ以上の何かが生まれたらどうしようって。あんな新人フェローに奪われるわけないってわかってても、やっぱ不安で。






俺にはない人の良さ。優しくて、人懐っこくて、先輩からもナースからも愛されて。あんないいやつ、Aとくっついたらお似合いなんだろうな……って。そんなこと考え始めたら、おかしくなりそうで。









｢…ね、待って………、んっ｣





名取｢……………｣









壁際に追い込んで、抵抗させる暇もなく。

気づけば、荒々しくキスを落としている自分がいた。









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