017 小さいオトコ ページ17
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名取side
『無事に帰ってきたよ。』
急変患者の処置を終えてスマホを手に取ると、Aからのメッセージとスタンプが届いていた。首をぐるぐるっと回しながら力なくステーションの椅子に腰を下ろすと、真っ先にトーク画面を開く。
山田「Aちゃん?」
名取「んー。」
なんとなく声が聞きたい気もするけどな……そろそろ寝る時間だろうし、少しのメッセージで済ませておく。
山田「ちゃんと送ってくれたんだね。フェローくん。」
名取「当たり前だろ、」
山田「いやーわかんないよ?もしかしたらおうち上がり込んでたりさ、あるかもじゃん?」
いやいやいやいや。家まで送ったからって、さすがにそれはねーだろ。まあ仮に上がってたとしてもそこにやましい気持ちがなきゃ何でもないことだし。岡本に限ってそんなこと……
慧「わっかんないじゃん、ねー?よくドラマとかでもさ、旦那がいない時にいろいろ…」
名取「ねーから。」
すっごい楽しそうなこの2人は何なんだよ。不運か腐れ縁か、当直の担当はよくかぶるし、そのたびに岡本岡本って。そんな気にしてねーっつの。
山田「だーいじな奥さんなんだからさ、ちゃんと繋ぎとめておかないと。好きって言って、ちゅーして、抱きしめて、やることやって、」
名取「余計なお世話。」
慧「そういう余裕ぶっこいてる人が浮気されんだよ?A可愛いし、その気になっ……ちょっと!」
スッと立ち上がって、聴診器を首にかけて歩き出す。
ちゃんと聞け!浮気されろばかー!って叫ぶ伊野尾の声と、山田の楽しそうな笑い声を背中に聞きながら患者のところへ。
岡本が気になってるのは事実。まあでも、ただの職場仲間に嫉妬してんなら俺はすげー醜いやつだ。だから口が裂けても言わないつもりでいる。俺がなんとも思わなければ普通に過ぎていくこと。この世界は男も多いし、伊野尾だって昔からAにベタベタしてた。今さら後輩が仲良くしてるからって腹立ててたらそれこそ小さいオトコ。
俺だけが我慢してるって、嫉妬してるって、気に入らないって。あいつのことをちゃんと見ててやれなかった俺の、自業自得。あんなことがあって、もう危険な目には合わせないと、俺が守っていくと、そう決めたあの日。揺るぎないはずの俺の誓いには、何が足りなかった……?
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やまりん。 - すごく良い話で、読むのが楽しみです!更新頑張ってください! (2019年1月17日 2時) (レス) id: 09cc536070 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 更新待ってます!!! (2019年1月13日 14時) (レス) id: 67369f46c8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - おもしろすぎますほんとに!!!!ずっと更新待ってます! (2019年1月12日 13時) (レス) id: 89484a4688 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - おい芹沢ーやめろーー 失礼しました あけましておめでとうございます!今年も更新を楽しみにしています(^^♪更新頑張ってください!! (2019年1月1日 10時) (レス) id: 31e5093717 (このIDを非表示/違反報告)
ruru(プロフ) - こんにちは、いつも楽しみに見ています。更新待ってます。 (2018年12月27日 16時) (レス) id: 2b114bfedf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2018年8月12日 19時