037 影が差していく ページ37
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この台風から目を逸らしたくて、むりやり目を閉じてからしばらく。大ちゃんの席で小さくなって、眠りについていたわたしを起こす、彼の左手。
涼介「ふふふ。寝顔もかわいいの。」
「…………なんですか、」
涼介「んー?まだいるかなぁ、って教室のぞいたらスヤスヤ寝てんだもん。こんなチャンスめったにないっしょ?」
きれいなお顔がふにゃっと笑う。先輩は、なにを考えてるの………。
涼介「で、いつデートすんの?」
「……っ、デートなんて」
涼介「チビすけとはするくせに、俺とはしてくんないの?」
「………、」
涼介「ずるいじゃん。彼氏でもないのに許してもらえるとかさぁ。ほんとはもういろいろ手出してんじゃないの?」
「………手、」
涼介「まぁキスぐらいならいいとして、もうそういう…」
「ちがう!!」
あまりの大きさに、先輩よりわたしが驚いたほどだった。立ち上がった拍子にイスも勢いよく倒れちゃって、後から恥ずかしさだけが降ってくる。
……けど、まだまだ止まない激しい雨の音が、沈黙をかき消してくれるみたいで少しだけ助かった。しばらく握っていた手のひらを緩めて、冷静になるように心で言い聞かせて。
「……………大ちゃんは、……そんな人じゃない。」
涼介「庇うんだ?」
「………」
涼介「だってあんたのせいでしょ?散々あいつが好き好き言ったって、自分はごまかしてさ。」
「……………」
涼介「そもそも、そんな引きずること?あの過去のせいでずっと断ってんでしょ?マジかわいそうなんだけど(笑)」
もう言葉にできないくらいの、暗闇だった。心に影が差していくのが自分でもわかった。先輩の言葉ひとつひとつが、胸に突き刺さっていく感覚。
わたしは先輩が、苦手だ…………。
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有(プロフ) - なんだこの小説!!超キュンキュンします!!続きも一気に読み進めます!!! (2017年12月9日 23時) (レス) id: 074c0f6b92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2017年4月2日 22時