030 迷惑 ページ30
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大貴「おいしかった?」
「うん、すーっごいおいしかった。」
沈みかけた夕日が、もう山に隠れてしまいそうな時間。お店を出て、暗くなりはじめた帰り道を大ちゃんと歩く。
ほんっとにおいしくて仕方なかったもん。思ったよりおっきな声が出ちゃって、自分でもびっくりした。そんなわたしを見て、また大ちゃんが笑う。
大貴「………、ふふ。」
「なぁに?」
大貴「ん?今日もかわいいなーと思って。」
「んもう…………」
大貴「あはは、ごめんごめん。」
ほら、拗ねないのーって。楽しそうにほっぺをツンツンしてくる大ちゃん。恥ずかしいんだよ。そういう一言に毎回きゅんってして、照れくさくて仕方ないなんて。……絶対言えないんだもん。
大貴「わかってんだよ。」
大貴「…………ほんとにずるいのは、俺だって。」
しばらくの沈黙のあと、小さくつぶやいた大ちゃんはポッケにしまってた手を出して、宙ぶらりんだったわたしの右手をふっと握る。
「……っ、」
おっきな大ちゃんの手はいつもわたしを守ってくれる。こんなふうに握って、わたしを安心させてくれる。どうして、「好き」すらまともに受け取れないわたしのことをこんなに想ってくれるのか、聞きたくても………。
大貴「フラれるのわかってっから、面と向かって、付き合ってって言えねえの。」
「…………、」
大貴「ダサいっしょ、男のくせに。」
たしかに、好きって言われることはあっても、付き合ってくださいと言われたことは……。
大貴「断られるのが怖くて告白しないなんて、ずるいよな……。」
「…………、」
大貴「迷惑だってことも、充分わかっ…」
「迷惑じゃないよ。」
ねぇ、わかって大ちゃん。今はこれが精一杯なの。迷惑じゃないよ。むしろ嬉しくて嬉しくて、仕方ないんだよ。
でもわたしは、大ちゃんの彼女になっても、きっと幻滅させちゃうから。後悔、させたくないから……。
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有(プロフ) - なんだこの小説!!超キュンキュンします!!続きも一気に読み進めます!!! (2017年12月9日 23時) (レス) id: 074c0f6b92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2017年4月2日 22時