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ゴッ
『痛っ』
突然頭に鈍い痛みが走って、涙目で頭を押さえる。
如何やら何時の間にかうたた寝をしていたようだ。
矢っ張り昼下がりの睡魔は恐ろしい。
「Aさん大丈夫ですか?」
『うん……おでこ赤くなってる?』
「ああ…バッチリ」
『うわ最悪…』
後々たんこぶとかになったら嫌だなあ…
なんて思い乍らおでこをさする。
…机の上に広げた書類が無事なだけ良いと思おう。
「疲れが溜まってるんじゃないですか?」
『ん〜……そう、なのかなあ』
敦くんが心配そうな顔で隣に座る。
私は頰をむにむにと抓り溜め息を吐いた。
探偵社でバイトをし始めてから暫く経つけど、今までの疲れが一気に出始めているのかもしれない。
それに最近では学校の方も忙しいし、バイトと学業とダブルパンチだ。
「国木田さんには僕から云っておきますから、今日はもう帰って休んだ方が良いですよ」
『え…でも』
「本格的に身体を壊す前に休んでおけ、国木田さんならそう云う筈です」
ね?と微笑む敦くん。
このまま仕事を続けて支障を来すのも悪いし、私は素直に頷いた。
そして直ぐに鞄を持って一足先に探偵社を後にした。
『駄目だ…眠い…』
余程疲れているのか、信号待ちの間にも容赦なく睡魔は襲って来る。
大きな欠伸をし乍ら横断歩道を渡っていると、
『……?』
スッと横を通り過ぎた人物に違和感を感じた。
一瞬見えた丈の長い黒い外套と、銀色の髪の毛。
それと浮世離れした雰囲気を纏っていた。
何となく、胸の辺りがざわついた。
その理由は判らない。
気になって振り返ったけれど、もう其処にはそれらしい人影は無かった。
……気にし過ぎかな。
早く帰って休もう、そう思い直して、信号機が点滅し始めた横断歩道の残りを急いで渡った。
この街に良くない何かが起ころうとしていた事は、
私は未だ知らない。
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麦子(プロフ) - キティさん» 有難うございます、そちらも近いうちに完結させます! (2018年4月28日 20時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
キティ(プロフ) - いつも楽しく読まさせていただいてます!deadAppleの方の続き、気になります! (2018年4月25日 0時) (レス) id: 3776331f45 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - rikoriko51さん» やっぱり何度も観たくなっちゃいますよね! (2018年4月16日 7時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 高坂美月さん» 有難うございます、かっこいいと思って貰えて嬉しいです!頑張ります!(*^^*) (2018年4月16日 7時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
rikoriko51(プロフ) - 私は映画を二回見に行きました。 (2018年3月21日 20時) (レス) id: a789258bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦子 | 作成日時:2018年3月11日 14時