JKとちびっこマフィア【番外編】 (ページ19)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:32,673 hit

・ページ19

・

『……で。何があったんですか』

武装探偵社とポートマフィア、横浜の二大異能組織の主軸メンバーが集う部屋で、Aは両組織の長に挟まれた位置に座っていた。

朝のフロントを思い出させる位置関係だ。

静かーに逃げ出そうとしたが、お菓子に飢えるエリスにとっ捕まり今に至る。

「いやね、折角横浜じゃない場所で会ったのだから偶には親睦を深めたら如何かなーって思って」

頬杖をつき、にこーっと笑う太宰。

其れを聞いてAは集まったメンバーを見回した。

探偵社側が福沢、国木田、太宰、敦。

ポートマフィア側が森、紅葉、中也、芥川。

『冗談はいいです』

「ありゃ、バレちゃった」

幾ら何でもこのメンバーで親睦を深めるだなんて無理がある。

戦闘が始まる事間違いなしだろう。

実際、芥川と敦は戦闘モードだ。

「はぁ…もう良い俺が話す。
俺達は女将から依頼を受けたのだ。聞いてないか？」

『え、女将さんから？』

僅かに目を丸くするA。

女将が探偵社に依頼をした事は勿論、彼女が戻って来た事も知らない。

朝に何処かへ行ってしまったのはこの為か。

『…ん？じゃあ何でポートマフィアが？』

「鈴子さんに＂鷗外さんもお手伝いお願いします＂って云われちゃってねぇ」

『あー…成る程』

実は女将と森が古くからの知り合いであった事はつい最近知った。

彼女の頼みなら森が断れなくても不思議ではない。

それにしても、探偵社とポートマフィアに依頼する程の案件とは一体何なのか。

『因みにその依頼って？』

「これがまた不可解な依頼でして……森から聞こえる声の正体を突き止めて欲しい、という…」

芥川との睨み合いをやめた敦が、若干青い顔で云った。

…何とも不気味な匂いがぷんぷんする内容である。

「オカルト事は専門外だ、と伝えたのだが…」

「もう一泊無料っていう報酬出されちゃってね」

こんな上等な旅館に無料で宿泊できるのだ、断る理由が無いだろう

とでも云わんばかりの福沢を横目で見るA。

「無料」という言葉に弱いのは万人共通らしい。

『…これまた面倒な依頼を受けましたね。よりによって彼処ですか』

「お前、知ってるのか？」

『ええまあ…』

伊達にこの旅館で接客をやっている訳ではない。

この手の噂はよく知っている。

『……その森、出ますよ』

Aの発言に、一同は固まった。

・