現金 ページ6
ばっ、と振り向く。
──目を疑った。
どうして、このひとがここに……
「アカギ……さん……！？」
ククッ、と小さく笑って、アカギさんは私の卓のそばまでやってきた。
「い、一体いつから……」
「さっきの半荘……南入したところから」
こともなげに言うアカギさんにぎょっとした。
な、南入したところから……？
けっこう前から見てたんだ……全然気づかなかった。
それに、このぼろぼろぶりを見られていたなんて。
つい先日、「アカギさんの麻雀が知りたい」なんて言っておきながらこのざま……。
「そこの兄さん、この嬢ちゃんの知り合いか？」
私とアカギさんの会話がひと段落したのを見かねて、対面の広瀬が声をかけた。
「まあな……」
小さく煙を吐き出して、アカギさんは続けた。
「レートは？」
「は？」
「賭けてるんだろ、金
いくらだ？」
突然の問いにぽかんとする他家。
彼らに代わって、私が答えた。
「5万から始まって、もう今は23万です……
半荘4回で、今は3回戦の東三局ってところです」
ふうん、とつまらなさそうなアカギさん。
この調子だと、4回戦には30万を超えるかもしれない。
どうにかトップを取らないと、そんな大金……。
「なんだ、打てるクチかい？」
「ま、嗜む程度には……
それにしても──
ケチなことするね、アンタ」
「何？」
「え……？」
アカギさんは広瀬の方をじっと見つめながら笑っている。
私にはその言葉の真意が分からないでいた。
今度はぽかんとする私に向き直って、とんでもないことを口にした。
「Aさん、代わろうか？」
「ええっ！？」
「南入してから、オレが代わりに打つよ」
そりゃ……アカギさんに打ってもらえるなら願ってもないことだけど。
でも──。
「待った、そんなの認められるわけないだろ
これはオレたち4人の取り決めなんだ
今さら他人に割り込まれちゃ困る」
案の定、広瀬がそれを制止する。
他家の顔色も微妙な感じだ。
「クク……
そうですね、それもそうだ」
──が。
アカギさんはバッグから取り出した札束を卓の上に放り投げた。
「！！？」
「300万ある」
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南南東(プロフ) - 一気読してしまいました。アカギとのやり取りの一つ一つが素敵です!!更新待ってます！ (2022年5月11日 0時) (
レス) @page21 id: 74d17b21fe (このIDを非表示/違反報告)
唯 - 初めから最新話まで、一気に読んでしまいました!♪ アカギさん初め、他のキャラクター達の人物背景も崩れてなくて、展開もキュンキュンしたりして、本当に夢中で読んでいました。更新楽しみに待っています。最近は、冷え込む日も多いので、お体には気をつけて下さい。 (2020年1月20日 18時) (レス) id: a44ec662f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：戦犯にわか | 作成日時：2019年12月22日 21時
