賭博 ページ4
放課後──明日は休日だし、少しくらい遊んでもいいかな、なんて思いながら、私は学校を出た。
それに、ひろくんと対戦するともなれば、練習だってしておかなくちゃ。
いつもの雀荘へ行こうかとも思ったけれど、それじゃあ相手も変わらないし。
気分転換にでも、と少し離れた雀荘へ向かった。
……さすがに、初めて入る雀荘は緊張する。
ようやく常連さんや店長さんと仲良くなったとはいえ、雀荘を変えれば客層だって変わる。
ゆっくりとドアを開け、空いている卓を探す。
ちらちらと向けられる視線。
女子高生が雀荘なんて、まあ物珍しい顔で眺められるものだ。
「嬢ちゃん、ひとりか?ちょうど空いてるぜ」
私より少し年上──だろうか。
やさしげな表情の男性。
声をかけられた卓はすでに3人が座っており、どうもついさっきひとりが欠けたようだった。
「あ、ありがとうございます」
ほかに空いている卓は無いし、私は誘われるがままそこへ座った。
「めずらしいな、女の子がひとりで」
「あ、はい
でも私、まだ初心者で」
「ハハ、大丈夫!
オレもそこの二人も初心者だし、半荘4回まったり打とうよ」
和やかな雰囲気で開局。
他愛もない世間話をしながら、手を進めていく。
「ところで、額はどうします?」
「え?」
ふと対面の彼が放った言葉に、耳を疑った。
しかし他家のふたりは私の動揺などいざ知らず、話を進めていく。
「手始めに5万から、どうです?」
「おいおい、それまた半荘終わるごとにレート倍なんて言うんじゃないでしょうね」
「ハハッ、調子が良ければ」
「今度は負けませんよ」
──えっ?
半荘、5万?
普段、点棒のやりとりしかしていない私は、3人の会話にもうついていけてなかった。
ちょっと待って、お金賭けるの?
5万って、え?
「あの、私そんな額出せないんですけど……」
「何言ってんの、麻雀は金賭けてなんぼでしょ
出せなかったら借りればいいんだし
オレ、いい所知ってるよ?
始まった以上降りるわけにはいかないだろうし、
まあ嬢ちゃんが勝てばいいだけだよ」
対面の──「広瀬」と名乗った男は、いとも軽くそう言った。
「そうそう、オレもこの人らも初心者だし
誰が勝つか分かんないしな」
他家もそれに呼応。
嫌な汗が出るのがわかった。
広瀬の言う通り、始まった以上降りられない。
──こんなことなら、いつもの雀荘に行けばよかった。
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南南東(プロフ) - 一気読してしまいました。アカギとのやり取りの一つ一つが素敵です!!更新待ってます! (2022年5月11日 0時) (レス) @page21 id: 74d17b21fe (このIDを非表示/違反報告)
唯 - 初めから最新話まで、一気に読んでしまいました!♪ アカギさん初め、他のキャラクター達の人物背景も崩れてなくて、展開もキュンキュンしたりして、本当に夢中で読んでいました。更新楽しみに待っています。最近は、冷え込む日も多いので、お体には気をつけて下さい。 (2020年1月20日 18時) (レス) id: a44ec662f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:戦犯にわか | 作成日時:2019年12月22日 21時