熟考 ページ1
……いよいよ面白くなってきた。
表情には出ていないだろうが、オレは手を叩いて笑いたいところだった。
あのアカギが、いよいよ『色恋』というものに手を出しかけている。
──ああいや、この笑いは馬鹿にしたようなものではなくて、興味というか、嬉しさというか、とにかくオレはわくわくしていた。
アカギに手取り足取り指示されて、赤くなっちまってまあ……。
Aの初々しさに思わず『青春』なんて言葉を浮かべてしまう。
ときどき顔を赤くしては真剣な表情に戻るAと、その背後で余裕そうなアカギ。
ひろが見たらきっと不機嫌になるだろう。
「ポン」
カンに続いてふたたびアカギの声。
上家の二萬を鳴く。
──張ったか、今ので。
素直に読むなら三色同刻……いや、対々和か？
Aの捨牌にある東、まずあれでさっきのカンの新ドラ抱えはないだろう。
自風の暗刻から切っていくとは考えにくい。
新ドラは乗らない──。
そして手牌に入ったリンシャンツモ、あれが暗刻になったか、アタマになったか……。
他の捨牌を見ても、三色同刻か対々和の線が濃厚だな。
──で、オレの手牌にある生牌の白は打てない。対々和なら対子で抱えられてる可能性が高い。
このリャンソーは言うまでもなく駄目。
となるとテンパイを崩さず通りそうな牌といえば──スーピンかローソー。
残りの面子、鳴いてこないということは既に暗刻か？
生牌の白か……。
三色同刻だと仮定すると一面子は順子の可能性もある。
捨牌──……。
満遍なく捨てられている。
Aが打っているとはいえ、さすがアカギのサポートがあるだけあって読みづらい。
Aの河に目をやると、ふとアカギと目が合った。
妙な笑みを浮かべやがって。
オレの考えは全部お見通しってか？
考えた末、河に放たれた牌を見て──Aはぽかんと口を開けていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
南南東(プロフ) - 一気読してしまいました。アカギとのやり取りの一つ一つが素敵です!!更新待ってます！ (2022年5月11日 0時) (
レス) @page21 id: 74d17b21fe (このIDを非表示/違反報告)
唯 - 初めから最新話まで、一気に読んでしまいました!♪ アカギさん初め、他のキャラクター達の人物背景も崩れてなくて、展開もキュンキュンしたりして、本当に夢中で読んでいました。更新楽しみに待っています。最近は、冷え込む日も多いので、お体には気をつけて下さい。 (2020年1月20日 18時) (レス) id: a44ec662f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：戦犯にわか | 作成日時：2019年12月22日 21時
