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崇裕side
ドラマがクランクアップして、まだ番宣やら取材やらはあるけどやっとまとまった時間が取れてAの実家に行けたのは、もう夏がすっかり始まってからのことやった。
______ピンポーン
母「はい、」
「すみません、ご無沙汰しとります、崇裕です。」
母「！まぁ、！！すぐ開けるわね。」
「すみません、」
すぐにガチャ、と玄関を開けてくれて、中に通してくれた。
.
母「遠いところわざわざありがとう。ごめんね、A今眠ってて…」
「あ、いえ…」
母「仕事すると疲れるみたいなのよ。
…連絡できなくて心配かけてしまったわよね…私たちもAも、なかなか気持ちの整理がつかなくて。」
「……すみません、ほんまはすぐにでも来たかったんですけど、こんなに遅くなってしまって…。」
母「いいのよ、崇裕くんの仕事のことは、あの子もちゃんと理解してるし。逆に心配かけちゃったわね。」
「…その、、。Aの調子はどうですか。」
母「…今は、普通に生活している分には特に困ることはないわ。時折同じ話をしていたり、会話が噛み合わなくなることもあるけど…」
「……そうですか、、。」
母「私たちもね、何かの間違いじゃあってこっちの大きい病院にもかかったの。だけど結果はやっぱり同じだったのよ。
あちらの病院でいただいた薬を飲みながら、週に一回通院してるんだけど、やっぱり薬の効き目は無いってこないだ…。」
「……っ、、、そ、、んな、、、、」
母「最近になって、ようやく私たちも受け入れられるようになってきて…、少しずつ、病気と向き合えるようになってきたの…」
「向き合う…」
『…崇裕、、、？』
後ろから、愛おしい声がした。
バッと振り向くと、少し眠そうな顔をしたAが佇んどった。
「Aっ、！」
思わずAに駆け寄る。
「元気やったか、体は…具合はどうや？
遅なってごめんな？会いに…迎えに来たんや。
しんどかったやろ、そばにおれんでほんまにごめんな。」
『……ごめん、崇裕……。』
お母さんは気を利かせて、俺たちを2人きりにしてくれた。
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作者名：ふう
| 作成日時：2021年7月17日 20時
