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「 ひゃは♡ やっぱAは、こっちのが似合うぜ 」
「 ……銘柄変えたのわかるんだ 」
「 だって前まで、オレと同じのだっただろ 」
朝、ベランダで吸った煙草の匂いがまだ残っていたらしい。周りにバレぬよう、あんなに入念に消臭スプレーを掛けたのに。
「 ほんっと優等生みてぇな顔してるくせに悪ィ女♡ 」
「 はは、内緒だよ 」
バレたら本当に洒落にならないので、間違っても口外しないでほしいな、と思いつつ、私は今度こそ携帯電話を鞄にしまい直した。そして、半間君にひらひらと手を振って、路地裏から抜け出した。
「 それじゃあ、またね 」
「 じゃーな 」
『 しかし、嗚呼、学校! 』
私がようやく学校に着いた時、ちょうど二時間目が終わったところで、教室は休み時間特有の喧騒に包まれていた。体操着を持ち主に返して、大人しく席に着く。
「 お、遅刻魔 」
「 失礼だなあ、言うほど遅刻してないよ 」
机に突っ伏していた三ツ谷君は、私が来た途端、顔を上げてそう言った。そんなに遅刻してないと思うよ、多くて週に二回とかだもの。いやそもそも遅刻なんてすべきではないけど。
「 でもまあ体調不良じゃなくて、良かったな 」
「 まあ、身体は丈夫なほうだからね 」
「 一昨日まで体調崩してただろ、お前 」
「 ……ごもっとも 」
はは、と笑う三ツ谷君の顔からそっと目を逸らす。
そうだ。私は、嘘を吐いたのだった。一人になってしまったことを、誰にも知られたくないという醜い虚栄心のために、私はこの人を欺いたのだ。それでいて、その事実がバレるのを心の底から恐れている。弱虫。弱虫なのだ、私は。
キーンコーンカーンコーン……響き渡る始まりのチャイムとともに、私は机の上に伏せて、暫しの間、瞼を閉じた。
＊＊＊
次に目覚めたのは、残りあと五分という時だった。寝坊して、遅刻して、居眠りして、それから帰る。自由にも程があるだろうとは自分でも思うけど、どうも今日は自身の制御が効かないのだ。
なんでだろうなあ、と考えつつ、荷物を片付けていたその時だった。
「 A先輩、あの…… 」
聞き慣れぬ甲高い声に振り返れば、そこには可愛らしい女の子が立っていた。
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冷えた麦茶 - 無気力に自信が有る人さん» コメントありがとうございます！私自身、人間失格という響きと語呂の良さが大好きなので、共感してくださる方がいてとても嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年8月1日 22時) (
レス) id: 32defcba54 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 人間失格という題名に惹きつけられて覗いたら、最高ってこういう事ですね‥………！ (2021年8月1日 22時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
冷えた麦茶 - 風来坊になりたいさん» コメントありがとうございます！自分の好きなものを詰め込んだ作品なので、気に入っていただけてとても嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年8月1日 21時) (レス) id: 32defcba54 (このIDを非表示/違反報告)
風来坊になりたい(プロフ) - 文学作品と織り交ぜて書く作品が少ないので、すごく刺激的でおもしろいです。このサイトでは珍しい難しめの作品で、こういうのを探していたのでとても嬉しいです。これからも更新楽しみにしています、頑張って下さい。 (2021年8月1日 20時) (レス) id: 359cc97fae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷えた麦茶 | 作成日時：2021年7月31日 21時
