苦味と甘味 ページ6
(大西視点)
朝から地方へのロケのために新幹線に乗る。
隣の席はみなくんやけど、まだ乗ってへん。もう少ししたら出発やのに。
そわそわしていると有名なコーヒーショップの紙コップを持ったみなくんが「遅なってごめんな、おはよう流星。」と新幹線に乗ってきた。
隣に座ったみなくんからはふんわりとコーヒーの匂いがした。
流星「おはよう、またコーヒーだけ？」
『朝はそんなに食べられへんねん。これあげる。』
流星「？ あ、スコーン！」
『ふふ、美味しそうやったから買うてきた。流星好きそうやし。』
流星「ありがとう！」
新幹線が動き始めると車内アナウンスを聞き流しながら、みなくんから貰ったスコーンを食べる。うわ、めっちゃ美味しい。
美味しいのが顔に出ていたのか、みなくんは小さく笑って「喜んでもらえてよかったわ。」と呟き、コーヒーを一口飲んだ。
僕が入所した時も、その優しい顔で微笑んでくれていた。
そしてコーヒーも飲んでいた。あの時は缶コーヒーやったけど。
ただのブラックコーヒーを飲んでいるだけやのに、今も昔も彼が凄く大人びて見えて、見蕩れるのと同時に不安になった。
この人が、みなくんがどこか遠くへ行ってしまいそうで。
そんな気持ちが伝わったのかどうなのか、コーヒーのカップを置いたみなくんが「スコーン一口頂戴？」と言うので渡すと、小さな一口をかじった。
『甘、でも美味いな。』
大西「みなくんもどっちかというと甘党やろ？」
『そうやな、甘いもん好きやで。』
“苦いコーヒーには甘いものが合うんよ、”
そう呟いたみなくんは僕の口元に付いたスコーンの食べかすを指で取り、赤く潤った舌でぺろっと舐めた。
…なんか、朝から刺激が強く思ってしまう。
『そんな不安そうな顔せんでええんよ、流星。』
流星「え、」
『苦味には甘味が必要やからね。』
まるで離れへんよと言うてくれてるみたいで、凄く安心した。
みなくんは「到着までまだ時間あるし、ちょっと寝とき。」と僕の頭を自分の肩に抱き寄せては、自分が来ていた上着を僕の膝に掛けてくれた。
あぁ、どうかこの温もりがずっと続きますように。
そう思いながら目を閉じると、苦いコーヒーの匂いとみなくんの柔らかい甘みのある香水の匂いが僕の鼻腔をくすぐった。
＿＿＿＿＿
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リクエストについては近々お伝え出来たらなと思っております。
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麦茶(プロフ) - あずさん» 下の名前を変換できるようにしていますが、作中では「みなくん／みな」といったあだ名を使うことが多いです、申し訳ございません。 (2022年5月2日 14時) (
レス) id: 0e6fdc2bac (このIDを非表示/違反報告)
あず - 名前固定なんですか？？？変換した名前がいいんですけど (2022年5月2日 11時) (レス) id: 4f57076612 (このIDを非表示/違反報告)
おひさま(プロフ) - 年下組って恭平までじゃないんですか？間違っていたらごめんなさい💦 (2022年1月1日 21時) (レス) id: 2366bd0fb2 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ(プロフ) - 麦茶さん» お忙しい中ありがとうございます！楽しみにしていますね！頑張ってください！ (2021年12月7日 3時) (レス) id: ce93f22c4f (このIDを非表示/違反報告)
麦茶(プロフ) - MMT11O5さん» コメントありがとうございます！そうですよね、バランスよく書くように致します…！なにわちゃんや関ジュでの書きたいお話も書き進めているので、更新出来るのを待っていただけたらと思っています…！ (2021年12月2日 21時) (レス) id: 0e6fdc2bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麦茶
| 作成日時：2021年11月24日 23時
