@31 ページ32
その後俺たちは他愛もない話をしながら、少しゆっくり歩いた。
大通りから住宅地に入るとAの口数が減り、ぴたりと歩みを止めたところで
ここ。
と指差した一軒家。
キヨ『都内に一軒家…すげぇな。』
A「そんなことないよー。古い家だし、、、
キヨ兄…先行ってくれない……？」
キヨ『えっ？いや。Aが……あー。待って。わかった。』
確かに、目の前で怒られたり、怒鳴られたり…
そんなことがあったらますます連れ帰りたくなっちまう。
まずは俺が説明する方がいいよな。よし。
ピンポーンとチャイムの音が響く。
もし、少しでもAに対する危険を感じたら
そのまま俺が連れ帰ってやる。
そのくらいの覚悟で俺は返答を待った。
『はい…』
キヨ『あっ。突然すみません。Aさんを送ってきましたきよか(((『あ…貴方は、もしかして清川…さん？？』
正直めちゃくちゃびっくりした。
確かに前に電話をかけた時に名乗った気もするけど…
覚えてた、、、？
扉が開き、姿を現したのは
どことなくAに似た、優しい雰囲気を纏う女性。
キヨ『あっ…初めまして。清川です。
Aさんのお母様ですか？
あの、先日は突然な申し出、大変失礼いたしました。』
俺は軽く頭を下げる。
さっきの声…間違いない。Aの母親だ。
キヨ『あの。Aさんが帰ると言うので、送って……あれ？？A、、、？？』
さっきまで自分の後ろにいたはずのAの姿が
なかった…
『あの…Aと、、、』
キヨ『いや。確かにさっきまでここに…』
『本当に、今の今まで一緒にいてくださったんですね…』
キヨ『えっ…？は、はい…』
『ありがとうございます。本当にありがとうございます……
娘は多分…たった今、帰ったんだと思います…』
なぜか涙を流しながら、優しい笑顔を浮かべる。
どう言う事だ…？？
キヨ『あの…帰ったって、、、ここ…ですよね？家。』
『何が何だかわからないですよね。
すみません。私にもさっぱりで……ただ、確かに娘は…さっきまでそこにいた。それだけは、なんとなくわかります。』
キヨ『あの…どういう…』
『Aがどんな嘘をついて清川さんを振り回していたかは…あの日の電話の内容で想像はついてました…
黙っていてすみません。実は、亡くなってるのは……娘の方なんです。』
この瞬間、俺は…
あの日の電話越しの、この人の態度が
一気にフラッシュバックしてきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シロ(プロフ) - 今日見つけて一気読みしたんですがもう泣きそうです。更新楽しみにしてます！ (2月29日 11時) (
レス) @page35 id: 0f818d1e71 (このIDを非表示/違反報告)
むぎむぎ(プロフ) - honoさん» 読んでいただきありがとうございます！！頑張って更新しますので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです！！！ (9月26日 18時) (レス) id: 0ab5c4428c (このIDを非表示/違反報告)
hono - 今日見つけて読んだんですけど面白すぎて全部読んじゃいました！！！これからも更新待ってます！ (9月26日 5時) (レス) @page26 id: f4c357a258 (このIDを非表示/違反報告)
むぎむぎ(プロフ) - 舞さん» 大変お待たせしました…！読んでいただきありがとうございます！最後までお付き合いいただけたらうれしいです！ (9月16日 15時) (レス) id: 0ab5c4428c (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新ありがとうございます！毎回楽しみに読ませてもらってます。 (9月16日 1時) (レス) @page26 id: 6cc5db9b1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むぎむぎ | 作成日時：2023年7月25日 16時
