結末 ページ8
それから、炭治郎らは無事に無限列車内で煉獄と合流した。
煉獄と共に下弦の壱である魘夢と戦い、見事に勝利を収め、全てが順調に進んでいるはずだった。
上弦の参が、この場に現れるまでは。
負傷が大きかった炭治郎らは、煉獄と共に上弦の参に立ち向かうことは出来なかった。
そうでなくとも、上弦の参は別格の鬼だった。
今この瞬間、どれだけの戦力を掻き集めてもあの鬼には敵うことはない。
「上弦の参、猗窩座……」
激しい攻防戦だった。
けれど、人間である煉獄は徐々に押され始めて、最後は致命傷を負わされた。
それでも、煉獄は最後まで諦めなかった。
上弦の参の頸を斬り落とすその時まで、決して離しはしないと闘気を燃やし続けた。
しかし、朝日が昇る直前に上弦の参は逃げた。
「……っ…………」
呼吸が荒い。
深く抉られるような痛み、ゆっくりと呼吸を繰り返しながら考える。
あと少しで夜明けだ。
何度も何度も呼吸を繰り返して、立ち上がる。
身体はボロボロだ。心だって、同じように。
結末は変わらない。
それでも、重い足取りでその場へと向かう。
何度だって立ち上がって歩く。
炭治郎は泣いていた。
善逸は呆然としていて、伊之助だって泣いている。
ずるずると何かを引きずるような音に気付いたのは、耳がいい善逸だった。
顔を上げて振り向いた善逸につられるように、炭治郎も顔を上げる。
「Aさん……?どうして、ここに……」
そんな炭治郎の問いかけだけが、その場に響いた。
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作成日時:2021年1月7日 15時