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攻防戦 ページ23

煉獄は、一体なにが起きているのか分からなかった。
仲間であるはずのAが自分に斬りかかり、同じように斬りかかってくるように促している。
なにか癪に障るようなことをしてしまったのだろうか。
しかし、Aは「試したい」と言った。
一体、なにを試そうとしているのか。

「どうしたんですか?刃を防ぐだけじゃ私のことは殺せませんよ?」
「君を殺そうなど思ってないからな!」
「そうなんですか?ですが、私を殺さないと煉獄さんが死ぬことになるんですよ?」

話しながらもAは追撃の手を緩めない。
金属音を鳴り響かせながら、じりじりと煉獄を壁際に追い詰めて行く。
煉獄は全ての攻撃をいなしながら、Aを観察していた。

Aの噂は煉獄の耳にも入っていた。
彼女が向かった任務は極めて負傷者が少なく、優れた観察眼で鬼の能力や弱点を即座に見破る。
それ故、彼女の討伐した鬼の数は柱に匹敵し、十二鬼月と出会う運はなくとも、柱足り得る資格を持った人物であると。
それが煉獄の中にあるAの情報だった。

「なるほど、君は確かに俺の攻撃をよく分析しているな」
「そうですか、お強い煉獄さんからそう言ってもらえるのは嬉しいですね」
「だが、不可思議だ!君はいつどこで俺の癖を覚えた!そんな機会は無かっただろう!」
「……そうでしたっけ」

ぐるりと身体を回転させて、煉獄は攻撃に転じた。
Aは煉獄の刃を受け止めようとするが、その力の差は歴然であり、手首の痛みに顔を顰める。
しかし、すぐに体勢を立て直した。

「ふむ、今の攻撃でも耐えられるのか!常人であれば骨が折れるはずだが、興味深いな!」
「いえ、効きましたよ……耐えますけど、ね!」

再び煉獄に斬りかかる。
しかし煉獄はAの動きを見て、いつもの自分が選ぶであろう選択とは違うものを取った。
刃を鞘に収め、Aの手首を取って捻り上げる。
Aはすかさず足を振り上げるが、それよりも先に再び煉獄が刃を抜く。
振りかざした刃は確かにAを斬ることが出来る角度にあった。
それでも煉獄は、柄をAの脇腹に打ち込み、その動きを封じるに留めた。

「ガハッ……!」

脇腹を押さえてAがうずくまる。
今のはさすがに効いたのだろう。
Aはしばらくの間、咳き込んでいた。
その様子を見下ろしながら、煉獄は刀を鞘に収める。

「俺の予想通りだったか。君は自分の知らないことに対処は出来ない」

そんな煉獄の言葉にAはキッと睨み上げた。

憎しみではなく→←隊律違反



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作成日時:2021年1月7日 15時

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