Prince of volleyball .

# 28 ページ28

TV(密着取材) .









" バレー、を嫌いになる、って... "


｢ ...いや、辞めたりはしませんよ？...ただ、昔、バレーが死ぬ程嫌いだった時もあったんで... ｣


" ...どうして、...どうして、その時は... "


｢ ...お兄さんも大変ですね。...無理して質問しなくても大丈夫ですよ...独り言として、勝手に話しますから ｣









何も考えていないような、大路の顔...そして、大路が出している雰囲気は、そう、まるで" 王 "のような...


他者が勝手に話してはいけない、そう周りに思わせる、そんな雰囲気。


鋭く...鋭利な刃物をずっと首元に当てられているかのような、恐怖感。


この時、助手席に座っていたカメラマンは、まだ大路が運転をしていて、本当に良かったと、もし、面と向かって話していたらどうなっていたのか、考えるだけでも怖いと話していた。









｢ その時、バレーを続けられたのは...、" 兄 "のお陰ですかね... ｣


" 兄... "


｢ はい。...まあ、兄は生粋のバスケ選手で、バレーなんか全くやろうとしなかったんですけど...

けど、当時の自分はバレーに対して不信感を持っていたんで...スポーツに対して真っ直ぐに突き進んでた兄には...

なんて言うんですかね？...焦り、なのかな...怒りとか、嫉妬とか...まあ、結局は羨ましかったんだと思います。 ｣


" ？...それが...どうして...？ "


｢ ...言われたんですよ、｢ バッカじゃねーの？ ｣って。当時は...本当に、は？何お前。としか思えなかったんですけど...

今考えれば、自分のことを知り尽くしてる兄からの最大のエールだったんだな、と思います。

案の定、身内って事もあって...負けず嫌い精神で辞めなかったですしね。 ｣


" ...どうして、バレーが嫌いだったんですか "


｢ ...んー...今の状態と同じ感じで...何やっても上手くいかない、連携が取れない、そういう状況に陥っちゃったんですよね。...所謂、スランプってやつです。

まあ、中学の時は...今と違って小さくて。リベロだったんですけど...そのリベロが全くボール取れないって...ねえ...

今に繋がることですけど、スランプになってた中学時代は、レシーブは早々に諦めてたんで...サーブ練習ばっかりしてました。

今は...大事な練習、ですけど...当時は、今後もずっとリベロだと思ってましたし、絶対に要らない練習でしね ｣


" バレーが上手くいかないって... "


｢ ...それだけだったら良かったんですけど... ｣









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