無題 (ページ9)

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ネクタイページ9

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「..............ただいまぁ」

いつもより力なく聞こえたその声に振り向くと、

こっちに向かってよたよたと歩いてくる晶哉。

ネクタイは既に緩んでいて

ほんのり耳が赤い。

『え、おかえり、どしたの』

「正門くんにちょっと付き合わされた」

『お酒飲んだの？』

「うん、ちょっとだけ」

ソファに座っていた私の横に、
どすん、と体重をかけて座る。

普段お酒を飲まない分、
ちょっと酔っ払ってる晶哉を見たのは初めてかも。

若干弱ってるのが珍しくて、なんか可愛くて

ついそのふわふわの髪をぽんぽんと撫でた。

私の方を見た晶哉の目が、

なんだか熱を帯びてて、とろんとこちらを見つめる。

「かわいいなあ」

「Aちゃん」

ぎゅう、と抱きしめられたと思ったら

そのままどんどん体重がかけられて

気づけば覆い被さられるように倒れていた。

『....ちょと晶哉、重い重い』

「重くない」

思い切り体重をかけて、ギューーって抱き締められて、

普段あまり甘えたりしない印象の晶哉だから

苦しいながらも嬉しいような。

「Aちゃん、ネクタイとって」

少し起き上がって、

ん、と私に首元を差し出す。

少し戸惑いながらも、

言われた通りにネクタイに手を伸ばす。

晶哉の吐息が近くて、

ずっと見下ろされてるのがドキドキして、

手がもたついてしまう。

その間に顔がグッと近づいて、

唇の感覚と共にかすかなリップ音。

思わず手が止まる私に

「.........続けて？」