無題 (ページ14)

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少し難しい作りのワンピースの背中のチャックを、
手こずりながら自分で下ろす。

「別にジャージとかで来ればええやん」

私の気持ち知ってるくせに、彼はそういうことを言う。

ワンピースを足元に落として、

彼のベッドに潜り込み、香水の匂いに包まれる。

「髪までちゃんと巻いてるやん」

「おまえ遅いねん、準備」

『......ほんと嫌い』

薄らと笑みを浮かべる彼を睨んで、

そのパーカーに顔を埋める。

「好きよりええわ、そっちの方が」

背中に回った彼の指が、ホックを外した。

____

事が終わってベッドに腰かける彼が、カチリとライターをつける。

その横で相変わらずワンピースに手こずっている私。

「来てみ」

スマホをいじっていた彼が私の手を引き、

たばこを咥えたまま背中のファスナーを上げる。

「ん」

『どうも』

「かわいいやん、これ」

『全然見てないくせに』

「見てるって今」

「似合ってんで」

本当に、この男は。

「次も期待してるわ」

煙を吐き出して、ニコリと微笑んだ。

fin

(茶髪センター分け襟足長めホストビジュの誠也で)