無題 (ページ2)

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「されたら嫌なん？」

正門さんってめちゃくちゃ目見るよなぁ、

って、そんな冷静な振りをしながら
心臓はバクバクしたままで。

『いや、じゃないですけど』

「じゃあええやん、俺も息抜きさして」

そう言いながら正門さんが座り直して
より一層距離が縮まる。

ふわりと、香水のような柔軟剤のような香りが
タバコの匂いと共に鼻をかすめて、

お酒のせいで少しふわふわとしていた頭が
正門さんの匂いでより加速を増す。

『........あの、正門さんて、彼女いるんですか』

自分でもびっくりした。

私ってこんなこと自分から聞くタイプだったっけ。

いや、これはきっとお酒のせいなんだ。

「...おらへんよ？」

正門さんのその言葉が、
少し熱っぽいような、色っぽく吐息が混じるような、

「........Aちゃん、」

吸い込まれるように正門さんの方を見た。

指先が重なって、

そのまま唇も重なりそうな距離。

「....戻ろか？」

意地悪に口角をあげて

私の頭を撫でたその優しい手は

そっと私の手元から灰になった吸殻を奪って。

fin