無題のドキュメント【drm】［完結］

35 ページ35

3月28日辺りからAの体調が崩れやすくなった

普段より寝込んで、普段より食べんくなった
心配で仕方がない

本人は病院には行きたくない
死ぬならここがいい

そう言って絶対に入院はしやんかった

だから俺は予定が入っていない3月31日から配信を休むことにした
それからはAに付きっきり


ちなみに、ご飯はAが寝込んだ時にしか作っとらんかったから、お粥系のメニューしか上手くならんかった

Aの担当医が言っとったのはちゃんと覚えとる
入院しやんだら塩分控えろとか
とにかく食事制限がえげつなくやばかった

大変やな
俺が変わってやりたいわ

けどそんなこと現実じゃ出来やんから
俺は俺が出来ることを精一杯やるしかない

現実を突き付けられて心痛いわ

何かの奇跡でAの病気治ったりとかしてくんねぇかな








4月6日、Aの誕生日の前日

Aは誕生日を楽しみにしていた
寝込んでたけど結構元気そうで安心した

配信休んでまで看病してくれてありがとうとか言われたけど
好きな女が寝込んでんのにそれ無視して配信する男どこにおんねん

それ言うたら笑っとったわ


『だるまくんはさ、』
『私が死んでも、泣かないとか、思わないで』
『思いっきり、泣いて良いから』

「…うん、分かった」
「顔ぐしょぐしょになるまで泣いたるわ」


Aは笑って、また寝た









4月7日、今日はAの誕生日や

そう思って普通だったら起きない朝の10時にさ目を覚ました
隣ではAが気持ち良さそうに寝ている


「A〜？おはよー」

『…ん』

「ちょっと顔洗ってくるから待っとってな〜？」

『…ん』

「今日は誕生日やからな〜！楽しみにしとけよー？」



声は出とらんけど
静かに頷いてるのは分かる



目も開いたし大丈夫

″まだ生きとる″
毎朝そんな事ばかり考えて安心している


顔を洗い、歯磨きをしてAの元へ戻る

いつもなら起きるのに今日は起きてなかった


「A〜？いつまで寝とん、はよ起きんかーい」

笑いながら言ってもAの体はビクともしない


本能がおかしいと騒いだ

慌ててAの体を揺さぶり起こそうとした
しかしそれは出来なかった



Aが起きない
Aが動かない
Aが冷たい

嘘やろ
嘘やん
そんなわけない



「A、？」
「えっ、なぁ、A！」


考えられん
嘘って言ってや
はよ起きてや
なんで起きやんの？
またおはよって、言ってくれるんちゃうん

なぁ、A
今日誕生日やん

36→←34

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す