086 ページ39
□matatagi side□
抱きしめた手を離し、父親は俺に問う。
「本家との縁、切ろうと思えば切れる。
俺は婿養子だから、俺の母親の元に引っ越してそこで新しい生活も始められる。
ただ、本家と縁を切るということは、お前の将来にも少なからず影響する。
お前が選べ。
このまま男のふりをして生きていくか、それとも………」
俺の中で答えは決まっていた。
シーツを握りしめ、お父さんの目をしっかりと見て答えた。
『俺は、瞬木家でヒーローになります。
ヒーロー名も決めました。グロースです。』
それに今、本家から離れるにはいかなかった。
少なくとも俺の知りたい事は本家も関係している。
『お父さん、』
「？」
『あの………お母さんは、亡くなったんですよね。』
直球すぎたかと思ったが、そう気にはしなかったらしい。
悲しそうに、辛そうに顔を歪めて「ああ。」とだけ。
ああ、この人は知らないんだ。
あの日の真相も、母の本性も。
何も、知らない。
なら、俺がどうにかしなきゃ。
『…お父さんは、お母さんが大好きだったんですね』
「………その敬語、やめないか？」
クセになっていたが、気になったのだろう。
こうやって距離を縮めていくのか、と俺は少しむず痒くなった。
『えと……じゃあ、お父さん。
もう一回聞………くけど、お父さんはお母さんのこと………』
「愛してたさ。
お前のことも、お母さんのことも。」
憧れた。
羨ましかった。
こんなにも一途に誰かを想うことのできるお父さんが、
酷く羨ましい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 566人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ヒロアカ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
COCO CORON(プロフ) - いえ、面白かったです！！！ (2019年8月4日 20時) (
レス) id: 7374e01130 (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - COCO CORONさん» なんと…！個性の設定から決めさせていただいた名前だったのですが、もしかしてそのせいでお話しに集中できませんでしたか…！？大丈夫だったでしょうか…？複雑なところもあったかとは思いますが、お読みいただきありがとうございます(^ ^) (2019年8月4日 19時) (レス) id: 40b62768f7 (このIDを非表示/違反報告)
COCO CORON(プロフ) - 夢主の母親と名前が同じだ涙 (2019年8月1日 16時) (レス) id: 7374e01130 (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - シエルさん» はい！そうです(^ ^)ちょうどそのお話を書いている時にそのアニメを見ていたので、影響されてしまったらしく…（笑）このお話を読んでくださり、ありがとうございます！ (2018年8月14日 1時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
シエル - 脳が震えるはリゼロのペテルギウスですか？ (2018年8月13日 0時) (レス) id: 6b2fa3f0c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おむらーす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時：2016年8月26日 21時
