040 ページ41
□matatagi side□
「おとなしくしてもらおう」
そう言った死柄木は、俺に近づき手を伸ばした。
その手はゆっくりと、俺の顔に、確実に
伸びて________
_________触れた
【終わりだ】
そう思った。
けど、触れた手は俺に害を与えることなく
ひんやりとした指先の温度が伝わるだけ
そんなことより俺、
今、何を考えた？
終わり？何が？
俺が？
『は、………』
どうして？
俺が弱いから？
負けると思った。
俺が死柄木に敵わないから
脳無に敵わないから
俺が
弱いから。
『ぁ、ぁあ………ぁああ…ァ、あ………っ』
声が震える。
言葉が出ない。言いたいことはある。
敵の‘‘ 個性 ”を消してくれた相澤先生を押さえつけに向かった脳無を、俺はトばさなきゃならない。
やらなきゃいけないことはたくさんある。
なのに、今日初めて
【恐怖】で身体が動かなくなった。
死柄木の指は俺に触れたまま、
相澤先生の‘‘ 個性 ”が切れるのを、俺は待っていた
だって、弱い俺はもう_____
『は、やく……殺して、くれよ……』
「手っ…放せぇ!!」
絶望の中笑みを浮かべた俺の言葉は
出久の言葉と存在に掻き消された。
( ああ、お前は昔からそういうヤツだったよ。 )
出久、俺はお前が好きだった。
震える足で友人を救けようとするお前がカッコよくて
‘‘ 無個性 ”が勿体無いくらいで
それでも、
誰よりもヒーローに向いているお前が、出久が
『俺はずっと、羨ましかった』
意識が遠のいていく。
死柄木と、脳無と、出久が視界に入って
俺は、今自分が荷物になっているという現実から目を背くように、意識を手放した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 800人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おむらーす(プロフ) - 海乃さん» わぁあっほい…！ありがとうございます!!(大声)笑 (2017年4月24日 17時) (
レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
海乃(プロフ) - 是非、押させていただきます。(小声)笑 (2017年4月24日 8時) (レス) id: 48d7b38e5a (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 優さん» 私にはもったいないお言葉です…ありがとうございます…！面白いですよね〜、DAYS(^-^) (2016年11月1日 23時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
優 - すごい面白いですね。自分に文才分けて欲しいです。DAYS好きです。 (2016年10月31日 21時) (レス) id: 0b03a041de (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - リオンさん» ありがとうございます！リオンさんの優しさに感動してうるっときました…！！応援ありがとうございます！大きなお世話なんかじゃないですよ！すっっごく嬉しいです！(^^) リオンさんも気をつけてください！ (2016年8月17日 3時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おむらーす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時：2016年8月7日 0時
