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初めて目にした彼女は、悪魔と呼ぶには似つかわしい、細身の、ただの女性だった。
きっと人混みの中に見つけても、まさかこの女が人を殺めているとは思わないだろう、それくらいの。良くも悪くも彼女から組織のにおいというのはしなかった。
「スコッチ?ちょっとスコッチ!」
ただ驚いたのは俺を見てすぐに書類を作成している手を止め、スコッチを呼び出したこと。嫌われるほど会ったことも話したこともないのにどうして、そういう目でスコッチを睨む。
お前が何か言ったんじゃないだろうな、と
「ああー……ほらディアブロ、落ち着けって」
「落ち着いていられるとでも?!」
まあ確かに。彼女は少しおかしいのかもしれない。
ベルモットやジンから感じられる殺気や威圧感というのが全くと言っていいほど感じられないなんて、思いもしなかった。
自己紹介を終え、半休を手に入れたと言う彼女の後をついて歩く。
買うものは先ほどから日常品ばかり。
ランジェリーショップに入っていった時はさすがに店の前で待っていたが、特に撒かれるというわけでもなく数分後袋を下げて戻ってきた。
まさかスコッチがこの女に嵌められてるという可能性も…なんていう心配は、杞憂に終わったのだと思う。
「スコッチから聞きましたよ、彼から仕事を奪ってるって」
「……汚れ仕事を、でしょう?
それ以外はちゃんとやらせてるわよ。優秀で助かるわ」
「………なぜ、汚れ仕事を彼にさせないんですか?彼が虫も殺せないような男だと?」
助手席に座る彼女は、窓の外を見つめていた。
変わりゆく景色の一点だけを、ただじっと。
「馬鹿ね、ちゃんとわかってるわよ。虫一匹殺せないでこの組織に入ろうなんて思えないでしょう。
…ああ、もしかして、彼が怪しまれてはマズイことでもあるの?」
話しすぎたか。
鋭いというか、ここまできては当たり前というべきか。話を逸らすべく適当に笑い流すと彼女は拳銃を取り出し手を滑らせた。
ひやりと背筋が凍るような殺意を真横に感じる
「ジンにバレたって、むしゃくしゃしてたから殺ったって適当にごまかすわ。」
「まるで取り調べで自白した殺人犯のような回答ですね」
「………………殺人犯よ。
私はもう戻れないけれど、スコッチは違う。
彼の手を殺しには使わせない。絶対に」
その時、彼女から確かにジンと同様の、もしくはそれ以上の威圧感を感じたのだ。
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おむ(プロフ) - (名前)りんくらさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。続きが気になっていただけてとても嬉しいのですが、実は調節中でして……。調節が終わり次第公開する予定ですので、それまでお待ちいただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします!(^ ^) (2019年3月25日 11時) (レス) id: 0478855421 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)りんくら(プロフ) - 凄くおもしろくて続きが気になります~!続編のパスワードを教えて頂けませんでしょうか??(;;) (2019年3月9日 19時) (レス) id: df2c55daee (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - はい!楽しみにしてますね、頑張って下さい^ ^ (2018年8月15日 1時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - red cherryさん» ツイッターでもフォローしてくださった方ですよね!ありがとうございます(^^) ゆっくり過ぎる更新速度ですが、これからも宜しくお願い致します。本当にありがとうございます! (2018年8月14日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - 凄くおもしろいです!更新が楽しみです^ ^ (2018年8月14日 22時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時:2018年4月22日 22時