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目の前に置かれたコーヒーに毒なんて入ってないわよ、と俺に笑いかけ、「そうね…」と思い出すように視線を外にそらす。

外と言ってもカーテンは閉めきっているため、夜景なんてものは見えないけれども。






「何となく、かしら」



「そんなふざけた理由で自分の身を危険にさらしたのか?
だとしたらもうやめた方がいい。いつか絶対に死ぬぞ」



「死ぬならそれでいいじゃない。
私だって好きで生きてるわけじゃないのよ。死ぬ時は潔く受け入れるくらいの覚悟はあるわ。」







空っぽの部屋に、ディアブロの声は響き渡る。家具が少ないからか、なおさら声は反響して聞こえた。

今までいろんなディアブロを見てきた。けれど今回は初めてだ。
全てを諦めたような顔で、棘のある声で、俺を遠ざけようとするかのようで







「お前のそれはただ逃げてるだけと変わらないだろ」



「………逃げ場なんてないわよ。どこにもない。だから私はどれだけ不条理な死だとしても受け入れるしかないの。

あなたには、わかるんじゃない?」







返す言葉もない、とコーヒーを口にする。
それは思っていたよりも香りがよく、驚いた顔でコーヒーから顔を上げるとディアブロは口元を緩ませた。

「コーヒーを淹れるのは得意なのよ」と、緊張を解すように。


やはり、どこか他の組織の人間とは違う何かを感じる。








「ディアブロは不思議だな。」



「私からしたらあなたの方が不思議よ。
普通、敵組織の構成員の家にあがりこむ?」



「そ、それは……
ほら、ディアブロなら信用できる気がして…?」



「甘い。もしこれが罠だったらどうするの?
あなた終わりよ?」



「あはは……じゃあ、俺の目に間違いはなかったってことだな?」



「………本当、阿保な男ね…」





目を大きく開き、呆れるようにまた笑う。
さっきまで死にかけていたとは思えないほどの空気だ。

それにしてもディアブロは何者なのか。彼女のことだ、どれだけ聞いても上手く流されるのがオチだろう。けれど、俺達はお互いを知らなすぎる。命の恩人だというのに俺からは本名を教えることすらできない。







「あっちにベッドがあるから使って。
私はまだ寝れないから」


「あ、ああ、わかった。ありがとう」






たかが名前、たかがコードネーム。けれど
俺は心のどこかで罪悪感を感じていた。






第3章_____女への疑念

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おむ(プロフ) - (名前)りんくらさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。続きが気になっていただけてとても嬉しいのですが、実は調節中でして……。調節が終わり次第公開する予定ですので、それまでお待ちいただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします!(^ ^) (2019年3月25日 11時) (レス) id: 0478855421 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)りんくら(プロフ) - 凄くおもしろくて続きが気になります~!続編のパスワードを教えて頂けませんでしょうか??(;;) (2019年3月9日 19時) (レス) id: df2c55daee (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - はい!楽しみにしてますね、頑張って下さい^ ^ (2018年8月15日 1時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - red cherryさん» ツイッターでもフォローしてくださった方ですよね!ありがとうございます(^^) ゆっくり過ぎる更新速度ですが、これからも宜しくお願い致します。本当にありがとうございます! (2018年8月14日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - 凄くおもしろいです!更新が楽しみです^ ^ (2018年8月14日 22時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おむ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho  
作成日時:2018年4月22日 22時

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