1-3 ページ4
.
仕事から帰ってきた私は、ジンに報告書を渡すと直ぐに部屋へと戻った。
ある程度の家具の揃ったその部屋は生活をするには十分なのだが、どこか寂しい。そう言ったスコッチの手により雑貨やら何やらが追加されたのは最近だ。
おかげで少しは人間味のある部屋になったと思う。
「………疲れた…組織入って以来初めてよ、こんなにも疲れたの…」
「そういえばディアブロはいつからいるんだ？
俺よりかなり古株だ…って聞いたけど」
「んん……随分と、昔よ………」
ああ、眠い。
ソファに預けた体がどんどん沈んでいくような感覚だ。
このまま目を閉じてしまえば楽になれる。本能がそう囁くのだが、まだ部屋にはスコッチがいる。情けない姿を見せるわけにはいかないし、何よりその間に仕事でも入ってきたらどうするつもりだ。
「昔か……」
「ええ………、小さい頃、連れて……」
あまりの眠さに頭が働かなかったのだろう。
彼の質問にこれでもかというほどペラペラと答えてしまう。
ハニートラップなんて大層なものがなくても私の口は割れてしまうのか。そう考えると何とも情けない。
「自分から入ったわけではないのか？」
「そうよ、当たり前じゃない…
こんな生活、私だって今すぐにでも………」
今すぐにでも、なんだ。
スコッチの目が、そう聞いているような気がした。
けれど私はそれ以上何も言うことはなく、スコッチも何も問うことはなかった。
否、何かしら言葉は発していたかもしれない。ただ私は今、酷く、酷く疲れていたから
沈んでいく記憶の中、近づいてきた男の足音を感じながら襲い来る睡魔に抵抗も何もせず
身を任せてしまうのも良いかもしれないと意識を手放した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 863人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おむ(プロフ) - (名前)りんくらさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。続きが気になっていただけてとても嬉しいのですが、実は調節中でして……。調節が終わり次第公開する予定ですので、それまでお待ちいただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします！(^ ^) (2019年3月25日 11時) (
レス) id: 0478855421 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)りんくら(プロフ) - 凄くおもしろくて続きが気になります~！続編のパスワードを教えて頂けませんでしょうか？？(；；) (2019年3月9日 19時) (レス) id: df2c55daee (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - はい！楽しみにしてますね、頑張って下さい^ ^ (2018年8月15日 1時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - red cherryさん» ツイッターでもフォローしてくださった方ですよね！ありがとうございます(^^) ゆっくり過ぎる更新速度ですが、これからも宜しくお願い致します。本当にありがとうございます！ (2018年8月14日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - 凄くおもしろいです！更新が楽しみです^ ^ (2018年8月14日 22時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おむ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時：2018年4月22日 22時
