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「あなた、公安の人間なのね」








開口一番のその言葉は、俺を深く突き刺した。


広いとは言えないビルの屋上。いつもと変わらない呼び出し。だから俺は油断していたのかもしれない。

否、そうでなくても何も疑いはしなかっただろう。そうなるように育てられたからだ。この、ディアブロに。






「……何の冗談だ?」



「シラを切るつもり?まぁ、認めなくてもあなたを殺せと命令されているから、意味はないと思うけれど」






今までに見たことのない瞳。冷たく、光のない。
風ひとつ吹かないこの屋上で、ディアブロの髪は靡くとなく落ち着いている。
髪をかき上げる姿に、俺は不覚にも綺麗だと思ってしまった。







「俺の頭もおかしくなったみたいだ」



「……………」



「こんな時だっていうのに、ディアブロに見惚れてた」



「……命乞い?」



「いや、本音だ。…な?おかしいだろ」






俺の言葉に溜息を吐いたディアブロ。
彼女はゆっくりと胸元に手を伸ばし、拳銃を取り出した。このままでは、スマホの中に残されたデータを見られてしまう。

焦りながらも慎重に、俺はディアブロの手にある拳銃を奪い取った。






「……っやめなさいスコッチ!!」



「悪いな、ディアブロ……!」









セーフティ(安全装置)を外し、引き金に指をかける。


スマホ越しに心臓を捉え、引き金を引いた。









「スコッチ!!!」









乾いた音だけが、夜空に吸い込まれていった。

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おむ(プロフ) - (名前)りんくらさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。続きが気になっていただけてとても嬉しいのですが、実は調節中でして……。調節が終わり次第公開する予定ですので、それまでお待ちいただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします!(^ ^) (2019年3月25日 11時) (レス) id: 0478855421 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)りんくら(プロフ) - 凄くおもしろくて続きが気になります~!続編のパスワードを教えて頂けませんでしょうか??(;;) (2019年3月9日 19時) (レス) id: df2c55daee (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - はい!楽しみにしてますね、頑張って下さい^ ^ (2018年8月15日 1時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - red cherryさん» ツイッターでもフォローしてくださった方ですよね!ありがとうございます(^^) ゆっくり過ぎる更新速度ですが、これからも宜しくお願い致します。本当にありがとうございます! (2018年8月14日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - 凄くおもしろいです!更新が楽しみです^ ^ (2018年8月14日 22時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おむ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho  
作成日時:2018年4月22日 22時

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