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「ついてこないで、バーボン」
「やだなあ!そんなこと言わなくても良いじゃないですか。それに、折角車を出すと言ってるのに…」
「私は元々徒歩圏内でしか買い物をしないの。」
「へえ、それはもったいない。
足を伸ばせばもっと素敵なお店もありますよ?」
是非、と嘘くさい笑みを浮かべるバーボンと、その前を歩く私。
速足に進む私たちを部下たちは不思議そうに見ていた。
「私は車の免許もバイクの免許も持ってないの」
「でしたら、タクシーや電車をお使いになれば良いのでは?」
「知らないのよ………」
「え?」
「電車もタクシーもバスも!乗り方なんて知らないのよ!!」
叫んだと同時に、後ろへとカバンを投げる。
その時少しだけ見えたバーボンは目を丸くして驚いた様子だった。走り出した私を追いかけようとする声が聞こえたが、肩がけ用のチェーンが上手く絡まってくれたのだろう。
その後、足音が聞こえることはなかった。
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「電車の乗り方くらい、小学生でも知ってるはずだろ…」
「そういうわけにもいかないのよ。彼女、物心ついた頃にはもうここにいたから。」
「!………幼かった彼女を、どうして組織が?」
「さあ。そこまでは知らないけど
あなたみたいに気になって仕方がなかったんじゃない?
彼女、そういうところがあるから…」
去っていくベルモットの背中を見つめながら、彼女を思い出す。知っていて当たり前であるモノを知らず、通常、知らずして生きていくはずであったモノを知ってしまっている。
それも全て、彼女の意思とは無関係に。
この暗闇から救えたかもしれないのだと考えれば考えるほど、やはり苦しさは増した。
けれど、俺は向き合おうとはしなかった。
認めたくなかったのかもしれない。友人を殺した存在が、ただの悪ではないということを。
____俺は、何を恨めば良いのか。
友人の死に、何1つとして理由がないまま、もしかしたら死ななくても良い未来があったのではないか。…そんな、ありもしないもしもの世界を想像するのが嫌だった。
彼女の投げたカバンが震え、隙間から見えた画面に、1つの文が浮かび上がった。
_________from〈 不明 〉
今日は戻れよ、待ってるから_________
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おむ(プロフ) - (名前)りんくらさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。続きが気になっていただけてとても嬉しいのですが、実は調節中でして……。調節が終わり次第公開する予定ですので、それまでお待ちいただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします!(^ ^) (2019年3月25日 11時) (レス) id: 0478855421 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)りんくら(プロフ) - 凄くおもしろくて続きが気になります~!続編のパスワードを教えて頂けませんでしょうか??(;;) (2019年3月9日 19時) (レス) id: df2c55daee (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - はい!楽しみにしてますね、頑張って下さい^ ^ (2018年8月15日 1時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - red cherryさん» ツイッターでもフォローしてくださった方ですよね!ありがとうございます(^^) ゆっくり過ぎる更新速度ですが、これからも宜しくお願い致します。本当にありがとうございます! (2018年8月14日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - 凄くおもしろいです!更新が楽しみです^ ^ (2018年8月14日 22時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時:2018年4月22日 22時