検索窓
今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:55,727 hit

5:「ぜひ」 ページ6

.







違和感は、あまりにも大きすぎた。


どれだけ忙しくても週に一回は会っていた。長く話さなくてもいいから、姿だけでもいいから、と 俺が一方的に見ていたこともある。

だからなおさら、理由もなしにAに会えないこの現状に嫌気がさしていた。



先日までは時間があれば向こうの寮に泊まっていたし、
時間が空けば電話もした。


お互いに暇な時間が重なる事も少なく、すれ違うことは多かったが、それでも何もないよりはいいと思っていたからだ。









「……俺と、ですか。」




「はい、Aさんと二泊三日。もちろんスタッフ付きです。
同じ事務所で同い年の男女…というのが向こうの希望らしく…どうですか?」







海の綺麗なところですよ、と月城さんは言う。


海か、と資料に目を通していた時、ふと思い出した。
いつだったか、Aが見に行きたいと言った、あまりにも曖昧な記憶。忘れていたのかと聞かれたら否定はできない。







これもまた、何かの縁かもしれないなと資料を机に置き、月城さんを視界に映す。
この人がどこまで知っているのか、それとも何も知らないのか。




知っていたのだとしたら、俺はどこまでも甘やかされていたのだなと、見えない優しさに笑った。







「ぜひ、受けさせていただきます。」




首を縦にふると同時に、それはよかった。と安堵の声。



複雑な心境を悟られないようお茶を口にするが、どうも上手く喉を通らない。
ああ、柄にもなく緊張してるのだ。と、また自分を情けなく思う。








「それでは、詳しいことはまた後日。
お疲れ様でした。」



「はい、お疲れ様です。」









Aは、この仕事を受けるのだろうか。

6:「暇な時」→←4:「広いなあ」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (78 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
140人がお気に入り
設定タグ:ツキウタ。 , 睦月始
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

おむ(プロフ) - snowさん» ありがとうございます!初の別れ話だったので私もハラハラしてましたが無事完結できただけでなくこんなにも丁寧に素敵な感想をいただかて私も胸がいっぱいです…。こちらこそ、本当にありがとうございました(^^) (2018年9月12日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - ひこさん» ひこさんんん!わ〜!ありがとうございます!始さん推しの方に受け入れてもらえるか不安だったのでこんな風に感想がいただけてとても嬉しいです!(^^)安心しました…。はい!これからもよろしくお願いします(^^) (2018年9月12日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - 彩華さん» ありがとうございます!1番と言っていただけてとても嬉しいです…!最後まで読んでくださり本当にありがとうございました!これからもよろしくお願いします!(^^) (2018年9月12日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - リラ@低浮上さん» ありがとうございました〜!はい!ご期待に応えられるようこれからも頑張ります!(^^) (2018年9月12日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 完結おめでとうございます。別れ話で始まり、ハラハラしました。皆の愛情の深さ、それに彼女の愛の深さが素敵な話でした。途中、もどかしくて、始さんを密かに応援してました。もう、胸がいっぱいです。素敵な話をありがとう。 (2018年9月12日 21時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おむ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho  
作成日時:2018年1月25日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。