41:「素敵な仲間」 ページ42
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後日、全てを話した後に彼らに頭を下げた。
ごめんなさい。ありがとう。
そう伝えると彼らは急に慌てだして、やめてください、顔を上げてください。と声を上げたのだ。
『私、あなたが羨ましい』
「?」
『こんなにも素敵な仲間に囲まれてるんだもの。
ふふ、嫉妬しちゃう』
左手の薬指にはめられたリングに触れていると、その手に彼の右手が重ねられた。
温かくて、大きくて、骨張っていて、男らしい。
いつも、この手が私の手を取ってくれた。
どこにいても見つけ出してくれた。
その手に包まれるというのは、存外、悪くない
「式場!式場はどこにします!?」
「あんまり大っぴらにできないよね…そしたらやっぱり寮とか…」
「いっそのこと作っちゃおうか、えい!」
「………おい、やめろよ?隼?…しゅーーーーーん!!」
「あっ、料理なら任せてください。頑張ります!」
「おっきなケーキ……!」
「ふふ、涙も一緒につくる?」
本人たちを置いて話はあれよあれよと進んでいく。
ドレスはどうする?
それならこの前の仕事で___
ウェディングケーキかあ…
あっ、Aさん、アレルギーとかありますか?
俺は苺がないとダメアレルギーだ!
何言ってんだ。いやマジで。
なんでこんなにも、温かいのだろう。
こんなの私には勿体無い。そう思う気持ちが強かったのだろうか、涙がポロポロと溢れ落ちた。
私より先に気づいた始が、私の頭の上に手を置く。その重みに俯くと、涙はスカートを濡らしていて、手の甲も濡れていて
なんだか、おかしくて
『っ、ふ、ふふ…っやだ、もう、ほんと、泣いてばっか』
「?」
『始と別れた時も泣いたの。夜にこっそり。』
「……そうか」
『でもこんなにあったかくなかったし、もっともっと寂しかった。……ありがとう、みんな』
ピタリと動きを止めた彼らは、さっきまでの慌てた顔から一変
にんまりと笑顔を見せ、また話に花を咲かせた。
「やっぱり、Aさんは笑ってる方がいいです!」
「泣いてたらせっかくの美人さんが台無しっすよ」
「ところで隼、その扉はしまおうなー」
「ええ〜せっかく出したのにぃ…」
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『私、少し興味あるかも………あれよね?ツキプロ名物すってんころりん』
「…やめとけ、ロクなことが起きた試しがない」
「おやおや?13名様ごあんなぁ〜い!」
「「しゅーーーーーーーーん!!!!」」
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おむ(プロフ) - snowさん» ありがとうございます!初の別れ話だったので私もハラハラしてましたが無事完結できただけでなくこんなにも丁寧に素敵な感想をいただかて私も胸がいっぱいです…。こちらこそ、本当にありがとうございました(^^) (2018年9月12日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - ひこさん» ひこさんんん!わ〜!ありがとうございます!始さん推しの方に受け入れてもらえるか不安だったのでこんな風に感想がいただけてとても嬉しいです!(^^)安心しました…。はい!これからもよろしくお願いします(^^) (2018年9月12日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - 彩華さん» ありがとうございます!1番と言っていただけてとても嬉しいです…!最後まで読んでくださり本当にありがとうございました!これからもよろしくお願いします!(^^) (2018年9月12日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
おむ(プロフ) - リラ@低浮上さん» ありがとうございました〜!はい!ご期待に応えられるようこれからも頑張ります!(^^) (2018年9月12日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 完結おめでとうございます。別れ話で始まり、ハラハラしました。皆の愛情の深さ、それに彼女の愛の深さが素敵な話でした。途中、もどかしくて、始さんを密かに応援してました。もう、胸がいっぱいです。素敵な話をありがとう。 (2018年9月12日 21時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時:2018年1月25日 14時