Art.17 ページ17
.
「ここか」
『だからいないって…!』
「………まだ、描いてるのか。」
『やめて!』
一枚の板を挟んで聞こえる声。
聞いたことのない声が飛び交う中、俺はただ、動けずにいた。
クローゼットの中でじっとしているしかなくて、怖くて、なにもできなくて。
今出ればAさんがさらに責められる___、なんてそれらしい理由をつけて
勇気がないだけの俺は、膝をかかえるだけで
「どうしてお前はいつも…」
『もう別れてって言ったでしょ…!』
「ふざけるな!!」
また、何かが割れる音がした。
音を聞いているだけでこんなにも震えるのに
Aさんは、一体どれだけの恐怖を感じているのだろう。
怖くて、助けたいのに、助けられない。
『もう…帰ってよ…っ』
「ああそうだ、お前も帰るべきだ。
俺たちの家に、お前と、俺で!」
『いや……!!』
もういやだ。
もうやめて。
誰か、誰か助けて。
( 陽、助けて、陽…!! )
『ッ!!!』
大きく室内に響き渡る、何かが折れる音と
声にならない叫び。
途端に静かになって、足音が遠のいていくのがわかって
ガチャリ、とドアの閉まる音が聞こえて
『まだ……出ないで』
今度は、小さな足音が
遠のいた。
79人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おむらーす(プロフ) - てぃみ〜さん» ありがとうございます!可愛い涙くんが書けてよかったです!!私が楽しんで書いたものをそんなふうに褒めていただけて嬉しいです!ゲナウ頑張ります!少々お待ちください!お気遣いまでありがとうございます!! (2017年9月3日 11時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
てぃみ〜 - 完結おめでとうございます!終始涙くんが可愛くて…とても、とても素晴らしかったです!!言葉に出来ない…!作者様の書く全ての物語の展開が本当に大好きです!!ゲナウ楽しみにしていますね!!無理せず頑張って下さい!! (2017年9月3日 3時) (レス) id: f99a1ade31 (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - ちゅーるさん» ありがとうございます!!私のかく陽がかっこいいだなんてそんな…!もったいないお言葉…!ご期待にお応えできるよう頑張らせていただきますのでよろしくお願いします! (2017年9月2日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
ちゅーる(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした。涙君の思いが実って本当に良かったです!おむらーすさんの陽くんはかっこよくて大好きなので、次回作期待してます! (2017年9月2日 20時) (レス) id: 5e2b033c1c (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 練爛々さん» ありがとうございます!はい!覚えております!続けて読んでくださりありがとうございます!本当に嬉しくて嬉しくて…!お気遣いまでありがとうございます!精一杯頑張らせていただきます!よろしくお願いします! (2017年9月2日 18時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おむらーす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時:2017年7月8日 0時