Art.14 ページ14
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頭の中で、何度も何度も警報が鳴った。
_____だから嫌だったんだ。
_____大丈夫、悪い人じゃない。
_____涙だけでよかったのに。
_____きっと、仲良くなれる。
真反対の言葉ばかりが頭をよぎり、
呼吸がおかしくなる。
吸ってるのに、酸素は身体を回らない。
脳に届かない。心臓がうるさい。脈がうるさい。
側で話してる二人の声が
その男の声が
うるさい。
耳を塞いでも聞こえる音に、私は涙を流し続けていた。
「 ____ん、__さんっ、Aさんっ! 」
『っ!!』
身体を揺すられて、目の前に長月くんがいることに気づく。
もうそこに霜月さんはいなくて、どこか安心している自分がいた。
呼吸が、少しずつ落ち着いていく。
「あの、送ります。
今日はもう疲れただろうし…その、涙にも、隼さんが上手く言ってくれるので……
帰りませんか…?」
きっと、彼なりの優しさだったのだろう。
触れられた手は温かくて、正気を取り戻すには十分だった。
私はただ頷いて、長月くんに手を引かれて、立ち上がる。
その頃にはもうフラフラで、歩くのが精一杯で
そんな私を気遣うように、
長月くんはただ、私を支えるだけで、道中何を話すこともなかった。
「大丈夫ですか…?
あっ、そうだ…すみません、少し台所お借りしますね…!」
『……ごめ…』
アトリエから少し離れた、寝室で横になる私。
台所から帰ってきた彼は、温かいお茶を持ってきてくれていた。
思っていたよりも強引な性格に、ほんの少しだけ微笑ましいと思える余裕がでる。
随分と楽になってきたみたいだった。
「すみません…落ち着くにはコレが1番かと思ったので…」
『………ありがと。』
彼の淹れてくれたお茶は
今まだ飲んできた中で、1番温かくて、優しい味がした。
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おむらーす(プロフ) - てぃみ〜さん» ありがとうございます!可愛い涙くんが書けてよかったです!!私が楽しんで書いたものをそんなふうに褒めていただけて嬉しいです!ゲナウ頑張ります!少々お待ちください!お気遣いまでありがとうございます!! (2017年9月3日 11時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
てぃみ〜 - 完結おめでとうございます!終始涙くんが可愛くて…とても、とても素晴らしかったです!!言葉に出来ない…!作者様の書く全ての物語の展開が本当に大好きです!!ゲナウ楽しみにしていますね!!無理せず頑張って下さい!! (2017年9月3日 3時) (レス) id: f99a1ade31 (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - ちゅーるさん» ありがとうございます!!私のかく陽がかっこいいだなんてそんな…!もったいないお言葉…!ご期待にお応えできるよう頑張らせていただきますのでよろしくお願いします! (2017年9月2日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
ちゅーる(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした。涙君の思いが実って本当に良かったです!おむらーすさんの陽くんはかっこよくて大好きなので、次回作期待してます! (2017年9月2日 20時) (レス) id: 5e2b033c1c (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 練爛々さん» ありがとうございます!はい!覚えております!続けて読んでくださりありがとうございます!本当に嬉しくて嬉しくて…!お気遣いまでありがとうございます!精一杯頑張らせていただきます!よろしくお願いします! (2017年9月2日 18時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむらーす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時:2017年7月8日 0時