足りない言葉【にゃんこ様】 ページ48
.
ある日寮に帰ると、最近人気の可愛いアイドルについて陽と新と恋が話していて
私は特に気にすることなくいつも通りだと普通に聞き流すつもりだった。
けど、その話にでてきたアイドルの子が、最近新との会話によく出てくる子だとわかった途端、胸のあたりがもやっとした。
またか、とため息をつく。
『………まあ、アイドルだし…』
一応女優な私は、確かにアイドルのその子に敵わないところもたくさんある。
もしかしたら新のタイプだって、私よりアイドルの女の子かもしれないし。
『……バカみたい』
気を紛らわす為にオレンジのウサギのぬいぐるみを抱えたけれど、虚しくなるだけ。
…会いたい。抱きしめて欲しい。キスしてもいいから、何したって怒らないから。
新の声が聞きたい。
「おー、いたいた。
どうした？俺の色のぬいぐるみ抱きしめて
もしかして、俺に抱きしめてほしかったり…なんてな」
いつの間にか部屋に入ってきた新に
ぬいぐるみに顔を埋めながら、不機嫌そうな声で「そうだよ」と呟く。
小さな声だったけれど、新には聞こえたみたいだ。
「……まじか。」
『…そりゃあ、私、アイドルの女の子より可愛くないし。
新の好きなタイプとは違うかもしれない。
けど、私の方が新のこと好きだし、新の可愛いところもちょっと抜けてるとこも、変なところも、それでもかっこいいところも全部知ってるんだから……っ』
思ったことを全てぶちまける。
感情的になって涙まで出てきて、重い女だって引かれて嫌われるかと怖くなる。
けど、新はそんな不安を吹き飛ばしてくれた。
私からぬいぐるみを奪うと、痛いくらいに抱きしめたのだ。
「A、
_________お前って本当、ズルいよなぁ」
『は!?』
「急にそんなこと言いだして、俺をキュン死させる気か？ん？」
『な、何言って…』
「……………ちゃんと、お前のこと好きだぞ。
いっっちばん好きだ。
でも可愛いとか、そんな言葉じゃ足りないんだ。
困ったことにな」
腕を緩め、向きなおる。
どこまでも優しく微笑んでいた。
「…明日の夜、時間あるか？
久しぶりに外でデートしよう。」
『……うん。』
周りからは私が新のことを甘やかしてるって言われるけど、そうでもない。
甘えてるのは私の方だ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 353人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おむ(プロフ) - kokoさん» そう言ってもらえて私も凄く嬉しいです！^_^ 大好きな新を注ぎ込んだ小説だったので、それこそ分かれるかなとも思ってたのですが、そう思ってくださる方が一人でもいてくださるだけで頑張れます！ありがとうござます！ (2019年7月8日 23時) (
レス) id: 40b62768f7 (このIDを非表示/違反報告)
koko - この小説は今まで読んだ中で一番のお気に入りです！ (2018年7月18日 15時) (レス) id: 1c9e26041b (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 梶寺さん» 本当ですか!?そう言っていただけてとえも嬉しいです…！本編の方は見ていただけましたでしょうか…！そちらも新とイッチャコラ(( してますので、ぜひ！ツキノハナシ。という短編集でも新は活躍中です！笑 よろしくお願いします！笑 頑張ります！ (2017年6月10日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
梶寺 - とっても面白いです！私、新推しなんで、嬉しいし、めっちゃニヤけちゃいます！素敵な小説、ありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2017年6月10日 17時) (レス) id: dd0c26e684 (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 梨子さん» ありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです…！せいいっぱい頑張ります！ (2017年2月4日 11時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おむらーす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時：2016年12月2日 19時
