熱と雨【ものん様】 ページ24
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熱なんて出したのは、いつぶりだろうか。
この仕事を始めるようになって、第一に気をつけてきたのが体調だった。
風邪をひかないようマスクをしたり、手洗いうがい、雑菌消毒までして
下手をすれば潔癖性なのかと疑われるくらいまで気をつけていたというのに、今私は熱で寝込んでいる。
1人きりの部屋の中で、ザアザアと降り続ける雨音をBGMに目を閉じる。
ふと、小さい頃を思い出した。
少し大きな家で一人ぼっち。
親の帰りは遅く、誰に頼ることもできず、リビングで倒れていた。
その日も同じような雨の日で、さらに悲しくて泣いていたのを覚えている。
結局その日は一日中リビングで倒れたまま、熱は上がる一方で
早めに帰ってきた母親が慌てて、私を抱えて病院に駆け込んだんだ。
『…懐かしいなぁ…』
___ピンポーン、
それはまるで私を現実に引き戻すかのように
聞き慣れたチャイムが室内に、熱のせいもあってか脳内にも鳴り響いた。
「よっ」
「ごめんね、寝てた…よね？」
『新…葵……？
仕事は…』
「今日はもう終わり。
今何時か知ってるか？」
室内にある時計を確認すると、もう午後5時を過ぎていて、いつの間にか寝ていたことがわかった。
小さい頃の、妙にリアルな記憶、あれは夢だったのだと1人納得する。
『悪いけど熱が移るといけないから…』
「あっ、うん。
Aに無理させるのも悪いし、これを渡したらすぐ帰るよ…、ほら、新」
葵に小突かれ、新は手に持つビニール袋を渡してきた。
意外と重たいそれに、ふらつく。
『ぉ、っと………あ、ごめん。あらた。』
「ん。」
新に支えてもらいながらビニール袋の中を覗く。
中にはスポーツドリンクやゼリー、アイスが入っていた。
そしてなぜか、新と葵のツキウサまで。
「えっと……1人じゃ寂しいかなって思ったんだけど…さすがに変、かな……？」
「でも可愛いしアリだろー？」
『………うん。アリ。
すごく嬉しい。ありがとう。』
2つのウサギを抱えてお礼を言い、それじゃあ、と扉を閉めようとした。
けれどものすごい力で止められ、一瞬にして新は私の部屋に入り扉の鍵でも閉めた。
『なんで…』
「まあまあ、いいから寝てろって。
特別にこの新くんが看病してやるから。」
何が起きたのか、
私にはさっぱりわからなかった。
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おむ(プロフ) - kokoさん» そう言ってもらえて私も凄く嬉しいです！^_^ 大好きな新を注ぎ込んだ小説だったので、それこそ分かれるかなとも思ってたのですが、そう思ってくださる方が一人でもいてくださるだけで頑張れます！ありがとうござます！ (2019年7月8日 23時) (
レス) id: 40b62768f7 (このIDを非表示/違反報告)
koko - この小説は今まで読んだ中で一番のお気に入りです！ (2018年7月18日 15時) (レス) id: 1c9e26041b (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 梶寺さん» 本当ですか!?そう言っていただけてとえも嬉しいです…！本編の方は見ていただけましたでしょうか…！そちらも新とイッチャコラ(( してますので、ぜひ！ツキノハナシ。という短編集でも新は活躍中です！笑 よろしくお願いします！笑 頑張ります！ (2017年6月10日 22時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
梶寺 - とっても面白いです！私、新推しなんで、嬉しいし、めっちゃニヤけちゃいます！素敵な小説、ありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2017年6月10日 17時) (レス) id: dd0c26e684 (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 梨子さん» ありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです…！せいいっぱい頑張ります！ (2017年2月4日 11時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おむらーす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時：2016年12月2日 19時
