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準備を済ませて階段を降りる。リビングに向かうと焼きパン達は談笑を、母さんはキッチンで盛り付けをしていた。
『手伝うよ』
「ありがとう、じゃあこれテーブルまで持って行ってくれる？」
『は〜い』
「だから、やっぱりさぁ…」
「でもそれだと計画通りには行かないと思う…」
「だよねぇ…やっぱ"ぐちさん"に相談かなぁ」
テーブルまで行くと焼きパン達の話し声が薄らと聞こえた。すぐ私に気づいたから聞こえたのは少しだけだけど。
『("ぐちさん"って…)はい、持ってきたよ』
「わ、ごめん！手伝うよ」
『いーって、運ぶだけだし』
三人で雑談をしながら朝食を口に運ぶ。咀嚼しながら、考える。
ぐちさんって、ぐちつぼのことだよね…
攻略対象の一人で確か三年生。
性格とかストーリーとかはあんまり覚えてないけど、攻略が一番難しいんだっけ
「A聞いてる？」
『あ、ごめんぼーっとしてた。なんて？』
「大丈夫？熱ある？」
『…寝不足のせいかも』
半分嘘で、半分本当。実際昨日は中々寝付けなかった。
「隈できてるね…」
私よりも辛そうな顔をして、壊れ物でも扱うみたいにそっと触れてくるからなんだか恥ずかしくなって目を逸らした。
『気をつけるから…手、離して…』
「っあ！ごめん…」
自分から触れてきたくせに耳まで赤くさせて手を引っ込めた焼きパンは恥ずかしさを誤魔化すように目の前の目玉焼きを口を放り込んだ。
「でも、ちゃんと寝なきゃダメだよ。」
ね、と言って、たらこの方を見る。
「そーだよ、これから色々あるんだし」
『え？』
色々って、何？
含みを持たせた言い方に引っかかる。
「ほら、寝不足になると集中力が落ちるって言うじゃん？テストも近いし、勉強頑張らなきゃいけないよーってこと。まぁ遅くなるより早く寝た方が健康には良いでしょ？」
『あぁそういうこと…？まぁ確かにそうだね、テストか…早いなぁ』
「あ、もうそろそろ出る時間じゃない？」
「ほんとだ、早いね」
『待って、上に鞄取りに行ってくる』
「はーい」
三人並んで学校へ向かう。何でもない話をして、教室に入って授業を受ける。私の頭からはヒロインのことなんてすっぽ抜けていた。
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「ってことで、どう思う？ぐちさん」
「ふーん…まぁ、良いんじゃね？下手なことできないし、一旦現状維持で」
「おっけー」
「たらこたちは良いよね、同学年だから話しかけても怪しまれないじゃん？」
「ふふん、役得だよね」
「うわ、ムカつく」
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作者名：霙 | 作成日時：2023年7月3日 21時
