41.過剰なスキンシップ ページ41
窓から見えた動物小屋のあたりに、人影を見つけて、私は記憶を頼りにそこへ向かった。
しかし、そこに期待した人はいなかった。
ひとらんさんは別のお仕事中だろうか。今は別の人が掃除をしたり忙しなく動いている。
動物たちと触れ合うのは暇つぶしにはなるかもしれないが、トントンさんの言葉を思い出して踏みとどまった。
働いている人がいるところに邪魔をしにいくのは気が引けてしまう。それに、初対面の人に対する尻込みもあった。
「あれ、Aちゃんやん」
屋内へ戻ろうとしたところで、ふと声をかけられた。
壁にもたれかかって、煙草を吸っていた鬱先生？さんだ。
鬱とか、大先生とか、なんだか色々な呼ばれ方をしている人だが、多分“鬱“が名前だろうか。
私が足を止めれば、彼はこちらに駆け寄ってきた。
「なになに、お散歩？」
こちらに手を伸ばしたところで、慌てて自分の右手に目を向ける。煙草の火を消すと、フゥっと息をついた。
「あかんあかん。ゾムに怒られるとこやったわ」
煙草のことだろうか。気を遣ってくれたらしい。
確かに、決して好きなものではないが、別に嫌いだとか問題があるわけではない。
そこまで気を遣ってもらうことでもないのだが、それを伝える術はない。ありがたく受け取るしかないようだ。
煙草を消した鬱さんは、改めてこちらに向き直った。
顔に向かって伸ばされた手に反射的に目を閉じれば、ふわりと両頬を包まれた。
「んっふふ、柔らかぁ」
フニフニと楽しむように、頬を挟まれる。
その顔は幸せそうに蕩けていて、細めた目でこちらを眺めている。
「ニンゲン可愛えなぁ〜！ゾムがおる手前、手ぇ出せんもん。存分に構わせて〜！！」
次第に激しさを増す手つきに頭が揺らされる。
髪の方へ移動した手は、髪を漉いたり、ぐしゃぐしゃとかき回してみたり、自由に暴れ回っている。
いい加減、スキンシップが過剰すぎないかと思い始めた頃。そろそろ鬱さんの手から抜け出したいと思った矢先、彼の顔が急に接近してきた。
それは私の顔よりも少し上、頭のあたりに寄せられると、そこで思いっきり息を吸い込んだ。
「ンスゥーーーーーーーー…………ハァっ！！」
2022.1.4
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ムチャ(プロフ) - 名無しさんさん» コメントありがとうございます。フィクションだから楽しめる設定ですよね…！ (2022年1月31日 20時) (
レス) id: 5c3af31097 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん - 少し怖い設定ですね…もし自分がこうなったらと考えると鳥肌が立ちます（褒めてます） (2022年1月26日 15時) (レス) id: 77d1f025e2 (このIDを非表示/違反報告)
ムチャ(プロフ) - カンナフューラー・スカーレットさん» コメントありがとうございます！今後の展開の参考にさせていただきます…！引き続き頑張りますのでよろしくお願いいたします〜！ (2022年1月24日 20時) (レス) id: 33a1921985 (このIDを非表示/違反報告)
カンナフューラー・スカーレット(プロフ) - めっちゃこの作品好きです！後下がリクしてるので私もいいですかね？受け付けてなかったら無視してくれて構いません夢主がピアノ弾いてみんながそれを聴いてびっくりするとかどうでしょう！trigger弾いたりしたら面白いと思います！これからも投稿頑張ってください！ (2022年1月23日 17時) (レス) id: ac012606e8 (このIDを非表示/違反報告)
ムチャ(プロフ) - ぽっぷこーんさん» コメントありがとうございます。上手く盛り込めるかわかりませんが、今後の参考にさせていただきます…！引き続き頑張ります！ (2022年1月20日 23時) (レス) id: 5c3af31097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ムチャ | 作成日時：2021年11月4日 21時
