【wrwrd】俺らの可愛いニンゲンちゃん

25.またお着替えですか ページ25

「かん………っぺきや！」

ショッピさんが初めて見る輝きを放っている。
満足げに呟いたその顔は、達成感と喜びに満ち満ちていて何よりだ。対する私は疲労感に包まれていた。

衣装チェンジを繰り返すこと数回。
私は薄紫のレースが印象的な、可愛らしいワンピースに身を包んでいた。チョイスはもちろんショッピさん。


「A、お着替えしような」

その言葉で開戦された、服を剥かれまいとする攻防戦にはなんとか勝利し、自分で着替える権利は獲得した。
とはいえ何度も着替えるとこ数回。それなりの疲労感だ。
ただ着替えるだけとはいえ、あまり慣れない服を相手にするとぼちぼち疲れるらしい。

「可愛えなー、A。よう似合っとるよ」

ベタ褒めされて、妙な居心地の悪さを感じるものの、悪い気はしていなかった。
だからか、頭を撫でくりまわす彼の手を退けられなかった。されるがままになっていれば、彼の方もどんどんエスカレートしていく。
もはや服なんて関係ないんじゃないかっていうくらい、頭やら頬やらを撫でられまくっている。その間、顔がどんどん真顔になっていくのが妙な怖さを演出している。

「ショッピくん終わったん？」

先程までいた、隣の応接室へ繋がる扉から、オスマンさんが顔を覗かせた。

「あ、そっちも終わったんすか？」

「おーん、完璧」

グッ！と親指を立てるオスマンさんに、ショッピさんも親指を立てて返す。2人とも随分と満足げだ。

「オスマンさんが言うなら間違い無いっすね」

「いや、俺もおるんやけど？」

後ろから顔を覗かせたのはチーノさんだ。

「あ、A〜！まぁた可愛なってるや〜ん！」

目が合うなり、ヘラリと顔を緩めるチーノさん。

「ショッピに着せてもらったーん？こういうフリフリしたのもよう似合ってるやん」

オスマンさんを押しのけて部屋に入ってくると、裾を摘んで弄んでみたりする。

「やっぱ可愛え子は何着ても可愛えやんな」

そのまま顔を寄せるチーノさんが何をしようとしているか理解した時には、もう避けようが無いほどに迫っていた。

『ヒェッ…！』

悲鳴のような声を漏らすのが早いか、乾いた音が鳴り響いて、チーノさんの頭が沈没した。

「いっっっった！？何すんの！？」

「Aを汚すな」

ショッピさんのガチトーンに、流石のチーノさんも大人しくなる。


2021.12.6

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