22.胡散臭いです ページ22
しばし、動物たちの世話をするというひとらんさんのそばで手伝い、もとい"おもり"をしてもらっていた。
ただぼーっとしているのも落ち着かず、何か手伝えればと側に寄ったのだが、なんだか程よくあしらわれているような、あやされているような気がする。
まあ、私のことを同じ動物と一括りにしているのだから、その動物に手伝わせようとしないのは当然だろう。
牧羊犬のような働きはできなくても、雑用くらいなら役に立ちそうなものだが、それを伝えるすべはなし。
大人しく、できるだけ邪魔にならないように彼のそばをうろちょろしていたが、多分邪魔にしかなっていないだろう。察して、ヒヨコたちの柵に戻った。
私を攻撃するでもなければ、寄ってくるでもない。
鳴き声を聞きながら、ヒヨコたちの一員になったような気持ちで目を閉じれば、次第に意識は遠のいていく。
「あっれ〜?寝とんの?」
突然近くで聞こえた声に反射的に目を開ければ、どアップで写ったのは大きなメガネ。
どれくらい寝ていたのだろうか。もしかしたらほんの一瞬だったかもしれない。
それでもウトウトしていたせいか足音にも全く気が付かなかった。
突然現れた彼に思わず後ろに退けぞるが、柵に阻まれてしまう。
「あはは、驚いた?おはよーございます」
ニコニコと笑う彼は人が良さそうに見えるが、初対面で追いかけられたことを忘れてはいない。
彼らを無意味に避けることは控えようとは思ったものの、彼に対する悪印象はそれ以前のものなので対象外である。
「あれ?なんか俺嫌われとる?」
一歩引いて、両の手のひらを差し出して見せるメガネの人。
こっちに来い、とでも言っているようだが、微妙に近寄り難い。何故か足元をヒヨコたちに突かれまくっているのも相まって、多分動物的カンからしてもあまり良い人には見えないらしい。
彼の手を睨むようにして思案していれば、お手上げというように手を挙げた。
「あかんわ〜…なんで懐いてくれへんの〜?」
「チーノは強引すぎるんだよ。あと胡散臭い」
彼の後ろから現れたのはひとらんさん。
「A、おいで」
手招きされて、素直にそちらに駆け寄れば、メガネさんが「なんでや!!」と声を上げた。
心なしか、ひとらんさんの目が得意げだ。マスクの下はドヤ顔だろうか。
「お迎え?」
「おん。ショッピくんの代わり」
2021.11.24
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ムチャ(プロフ) - 名無しさんさん» コメントありがとうございます。フィクションだから楽しめる設定ですよね…! (2022年1月31日 20時) (レス) id: 5c3af31097 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん - 少し怖い設定ですね…もし自分がこうなったらと考えると鳥肌が立ちます(褒めてます) (2022年1月26日 15時) (レス) id: 77d1f025e2 (このIDを非表示/違反報告)
ムチャ(プロフ) - カンナフューラー・スカーレットさん» コメントありがとうございます!今後の展開の参考にさせていただきます…!引き続き頑張りますのでよろしくお願いいたします〜! (2022年1月24日 20時) (レス) id: 33a1921985 (このIDを非表示/違反報告)
カンナフューラー・スカーレット(プロフ) - めっちゃこの作品好きです!後下がリクしてるので私もいいですかね?受け付けてなかったら無視してくれて構いません夢主がピアノ弾いてみんながそれを聴いてびっくりするとかどうでしょう!trigger弾いたりしたら面白いと思います!これからも投稿頑張ってください! (2022年1月23日 17時) (レス) id: ac012606e8 (このIDを非表示/違反報告)
ムチャ(プロフ) - ぽっぷこーんさん» コメントありがとうございます。上手く盛り込めるかわかりませんが、今後の参考にさせていただきます…!引き続き頑張ります! (2022年1月20日 23時) (レス) id: 5c3af31097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ムチャ | 作成日時:2021年11月4日 21時