夢寐 Ⅳ (ページ8)

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“ごめん。今週も接待入った”

商社で営業をしている湧は
社会人4年目となり毎日忙しそうで
今週末会う予定をしていたのに
先週に引き続き仕事で会えなくなった

とはいえ私も社会人2年目となり
後輩も入ってきて中々忙しい毎日を過ごしてて
いつしかこんなすれ違いが当たり前にようになっていた

「すみませんでした」

そんな時仕事で大失敗してしまい
湧に話を聞いて貰いたくてダメもとで
“会いたい”と連絡をした

“わりぃ、今日帰るの遅くなりそうだから無理だわ”

案の定会えないと返事が来て肩を落とす
元々湧は連絡がマメな方じゃないから
最近は私から一方的に連絡することが増えていた

これじゃ仕事にならないと思い休憩室向かうと椅子に座る
誰もいないことをいいことに“はぁ”とため息をつくと

「A先輩、元気ないっすね？」

後輩の深田くんが声をかけてくる
深田くんは手に持っていた缶コーヒーを
“はいどうぞ“と私に渡すと空いている隣の席に座った

“ありがとう“とお礼を言うと
“これくらいは！いつもA先輩にはお世話になってるんで！”
とちょっと恥ずかしそうに笑う深田くん

せっかくだからと
深田くんから貰った缶コーヒーに口をつけると
嬉しそうな表情で見てくる

「A先輩、今日飲みに行きませんか？」

「え？」

「何があったか知らないっすけど、
　元気がない時はパーっと飲んで忘れるのが1番
　俺、話聞くの上手いんでなんでも話しちゃってください」

自信満々に言う深田くんに思わず声を出して笑ってしまう
家に帰っても一人で抱えそうだし、どうせ湧にも会えないしと
せっかく誘ってくれた深田くんに甘えてもいいよね？
そう思い“じゃあ聞いて貰おうかなー？“と返事をすると
深田くんは嬉しそうに店を探しはじめた。