夢寐 Ⅳ (ページ7)

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すれ違う＊MW ページ7

大学の先輩だった湧と出会ったのは
サークルの新歓だった

明るい盛り上げ役
先輩にも後輩にも好かれる湧のことを
正直苦手だなと思ってた

飲み時間が過ぎるに連れて騒がしくなる席

「ねぇ、君、可愛いね。」

グラスを片手に空いていた私の隣の席に座り込む男の先輩
“1年？”“名前は？”“彼氏いるの？”と質問攻めされ
何を根拠に行けると思ったのか“俺とかどう？”と手をニギニギされる
怖くてしかたなくて助けを求め周りを見渡しても
みんな話し込んでいてこの状況に気付いてる様子はない

『お前嫌がってんだからやめろよ』

そんな時、間に割って入って
助けてくれたのが湧だった

『大丈夫か？』

「あ、はい。大丈夫です…」

『あいついい奴なんだけど酒飲むとなぁー』

“怖かっただろ？もう大丈夫だから”と
涙目だった私を落ち着かせるように
優しい声色で話しかけて頭をそっと撫でてくれた湧
私の中での湧の印象がガラッと変わった瞬間だった

そんな湧のことを好きにならない訳はなくて
意識してもらえるように頑張った結果
湧から告白されて付き合ったのは
出会ってから3ヶ月経った頃

2つ上の湧と学校で過ごせたのは2年間だけだったけど
彼と過ごす毎日は本当に楽しくて仕方がなかった

それから一足先に社会人になった湧とは
変わらず付き合いを続けていたけれども

学生と社会人から社会人同士となり
お互い学生同士だった頃に比べて
会う頻度も連絡する頻度も
めっきり減ってしまっていた