夢寐 Ⅳ (ページ6)

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連れてこられたのは颯太の家
家の中に入りようやく離された私の腕は赤くなっていて
それを見た颯太が“ごめんね”と呟いた

ソファに座るように促され大人しく座ると
隣に座った颯太が私の肩を掴んで
自分の方に向かせるとギュッと抱きしめてきた

『Aちゃん、俺、何か嫌がられるようなことしちゃった？
　急に帰っちゃうし、電話もメッセージも無視するし
　何が嫌だったのか言われないとわかんない。
　俺、Aちゃんのこと大好きだよ？
　だからこんなことで別れたくない』

私の肩が颯太の涙で濡れていく
自分が確認もしないで勝手に嫉妬して
颯太のこと傷つけてこうやって泣かせてしまっている

「颯太ごめん。ちゃんと話すから」

そう言って颯太の腕から離れると
目を見ちゃんと見ながらあの日の出来事と
今までの行動について颯太に話す
すると“それ、妹だよ“と言われて驚きが隠せない

『Aちゃん、嫉妬してくれたのぉ？』

泣いて目が真っ赤になってるのに
少し嬉しそうにしている颯太
“じゃあ受け取ってくれるよね”と
手にはあの時颯太に突き返してしまったワンピース

『本当に可愛いって思ったんだよぉ。
　だからAちゃんに着て欲しいなぁ』

恐る恐るワンピースに手を伸ばして受け取り

「颯太ごめんね」

私から颯太に抱きつくと

『仲直りしよっか』

颯太はしっかり受け止めて私の頭をひと撫ですると
苦しいくらいにギューっと抱きしめてくる
幸せだけどちょっとだけ苦しいし
せっかくのワンピースがグチャグチャになっちゃうよ

「ん…そーた」

『俺ずーっと我慢してたんだからね？
　1週間寂しかったんだから！
　今日Aちゃんが嫌って言っても
　絶対、ぜーったい離さないからね！』

こんな喧嘩だったらまたしてもいいかな？

『初めての喧嘩』

fin