夢寐 Ⅳ (ページ49)

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家に着くと一斉に“遅い！”と口を開くみんな

「もーA、織山となにしてたの？」

冷蔵庫に飲み物を入れていると
友達が近づいてきて小声で聞いてくる

「なにって別に？」

「うそーだって顔赤いじゃんA」

「そんなことないって」

「なに、織山に告白でもされた？」

「はっ？！」

友達に言われて思わず大声を出すと集まる視線に
なんでもない！とみんなに言うとまた飲み始める

「え？図星」

「図星ではないけど、なんか織山おかしかった。
　手繋いで来たり、コケそうになったの助けてくれたり」

思い出して少しだけ顔が赤くなると
その姿を見てニヤつく友達

「ふーん。それでAもドキッとしたと？」

「そんなことないって！」

「嘘ついてもバレバレー！
　ま、織山なりに頑張ったってことねー。
　さ、A飲も！飲みまくろ！」

慌てて誤魔化すけど
全く効果はないみたいでグッと私の肩に手を回して
みんなが飲んでるリビングに連れていかれると
織山の隣に無理やり座らされた

『はい。』

私が席につくと甘い缶チューハイを目の前に置く織山

「ありがと」

そう言ってプルタブを開けて飲み始めると
織山も隣でグビグビと喉を鳴らす
友達に変なこと言われたからなんか意識しちゃって
織山の方をチラッと見ると飲んでたのは
私しか飲まないはずの甘い缶チューハイ

「織山それ飲んでんの？」

『どんな味かなって。』

「おいし？」

『美味しいけど、太りそう。』

私の全身を一瞥してそう言う織山
なに太ってるって言いたいの？
なんでそんなこと言うかな
あーこんなやつ意識するだけ無駄だ！って思ったのに

『でも、痩せすぎよりいいよ。丸くて可愛いし？
　だから…Aはもう少し太った方がいいよ。』

ちょっと恥ずかしげな織山がトイレ！と席を立った後の記憶は
私には存在しなかった。