夢寐 Ⅳ (ページ47)

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『A歩くの遅い！』

少し前を歩いていた首悪の根源である織山は振り返って私を見ると
ほろ酔いでフラつく私に悪態をついてくる
本当だったら私一人で行くはずだったのに
俺も行く！とか急に言い出してついてきた
だったら最初っから織山が買いに行ってくれれば良かったのに

「織山のせいじゃん！ジャンケン負けるからヤダったのに！」

『弱いAが悪いんでしょ？』

「だってさ隣にいたの北川だよ？無理じゃん！」

ちょうど8人で飲んでたから右隣にいる人とジャンケンして？って言われ
運悪く隣にいたのは北川。
ああ、これ詰んだわって思ったら最後。
それから負け続け見事買い出し決定だ。

「それになんでついてくんの？」

『んー俺も外行きたい気分だったから？』

「だったら…」

いつもの調子で言い返そうと思ったら
目の前にあった小さな石につまづいて前に倒れると思ったのに

『あぶな。ちゃんと前見て歩きなよ』

いつの間にか隣に来て私の腰に手を回し倒れないように支えてくれたのは
さっきまで前を歩いていた織山でなんかちょっとだけドキッとした
直ぐに腰から手を退けると変わりに手を差し出してくる
一体なにがしたいの？

『A危ないから手、繋いであげてもいいけど？』

なに言っちゃってんだろ織山

「もしかして酔ってる？」

『酔ってないし！』

なんか少し顔が赤い織山がプイッと顔を逸らしたのに
それでも出した手はそのままで可愛いかもなんて思ってしまう
まぁたまにはノッてあげるか

「仕方ない繋いであげるよ」

そう言って織山の手に自分の手を重ねると
ギュギュと握ってくる織山

『さっさとしてよね。』

仕草はあざと系女子のくせに言葉には可愛げなんてなくて
やっぱりコイツ可愛くない！