夢寐 Ⅳ (ページ42)

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『来るって思ってなかったでしょ？』

そのまま耳元で話かけて
背中に当たる光成の胸板とお腹に回される腕
自然とやってくるのがなんとも恨めしい

「お、思ってないもん」

うそ、思ってた。
呼べばよかったかなって一瞬だけ思ったもん

『わかりやすいよね。Aって。
　知ってる？嘘つく時耳がピクってなるの』

ほら、今も。
そう言って耳を甘噛みされる。
やめてよ。耳弱いの知ってるじゃん！

「私、上がるね！逆上せそうだから」

そう言って立ちあがろうと思ったけど
今立ち上がったら明るい場所で体を光成に見られてしまう

『何、出ないの？笑』

「光成あっち向いて！」

『ヤダって言ったら？』

もーなんでこういう時は意地悪になるの？
顔を真っ赤にしてプンスカ怒ると

『ゴメンって。Aが可愛いからつい。
　もう少し待って？こうしてたいから』

光成の抱きしめる腕に力が入る
そんなこと言われたら出れないじゃん。

それからちょっとだけイチャイチャして
先にお風呂から上がり着替える

実は、ちょっと当たってたんだよね…と
お尻に当たった感触を思い出し一人でカーッと赤くなる
別に初めてじゃないのにやっぱり恥ずかしい

『Aもう出るよー』

「あ、待って直ぐ出るから！」

光成に声をかけられて着替えるスピードを上げ
急いで脱衣所から出た

髪はそのままにスキンケアをしていると
濡れた髪で色気ダダ漏れの光成が脱衣所から顔を出す

『A髪乾かしてない？』

「うん、これ終わったら乾かすよ？」

『じゃ、終わったらこっちおいで？
　乾かしてあげる』

そう言って脱衣所に戻っていく光成
ドライヤーの音が聞こえるから
自分の髪を先に乾かし始めたみたいだ

「お願いします」

スキンケアを終えて光成の元へ向かうと
ドライヤーを持って待ってましたという感じ
スイッチを入れて温かい風に包まれ
光成が優しく髪を触るから気持ちがいい

『眠くなっちゃった？』

「ん、ちょっとだけ」

『今日は早く寝る？』

光成の言葉に眠いけど寝たくないなぁなんて考えていると

『ま、夜は長いからね』

意味深な言葉を言ってくる
それがわからないほど私も子供じゃないけどね

『よし、乾かし終わった。』

ボーッとしているうちに髪も乾いていて
流さないトリートメントまで丁寧に付けられている
まさに至れり尽せりすぎだよ