夢寐 Ⅳ (ページ39)

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買い物を終えまた商店街へと戻る
私の荷物と買い物袋でいっぱいなはずなのに
手を離されることはない

「ね、光成重いでしょ？」

『重くないから大丈夫。
　それよりAが勝手にどっか行かないかのが心配』

うー、痛いところつくな。
付き合った当初、デートに行くたびに
色々なものに興味が湧いてフラフラと一人でどこかへ行っちゃう私
それを身を持って知ってる光成は
“Aは目を離すと直ぐにいなくなるから”と
それからというもの必ず手は繋がれてるんだよね

『A開けてもらってい？』

光成の住むアパートに着くと
定位置のパンツのポケットに入っている
家の鍵を取り出し共同玄関の鍵を解除する
ついでに郵便受けの確認もしてね

『Aよく分かったね』

私の様子を見て笑う光成
“何度も見てるしね“と自信満々気にいうと
流石に家まできたからか
もうどこか勝手に行くことはないだろうと
繋いでいた手を離して頭を撫でてくる
こんなところまで光成は完璧だ

階段を登り光成の住む203号室へ向かうと
手に持った鍵でドアを開け
先にこじんまりとした玄関を入ると
続けて入ってきた光成は
床に荷物を置いて直ぐに玄関の鍵を閉める

『Aおいで？』

そう言って手を広げて待ってるから
クルッと光成の方を向いて胸に飛び込むと

『Aおかえり』

嬉しそうにぎゅーと力強く抱きしめてくるから
私の負けずに光成の背中に腕を回す
抱きしめられながら上目遣いで光成を見ると
顔が近づいてきておかえりのキスをする

「ここ、私の家じゃないよ？」

『そうだけどいいの。
　ここはAの第二の家みたいなもんでしょ？』

そんなに入り浸ってないけどね。
でも、光成の言葉も行動も
直ぐに私を幸せな気持ちにしちゃってるんだよ？