夢寐 Ⅳ (ページ38)

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お泊まり＊HK ページ38

『今週末うちに泊まりにこない？』

そう言われたのはデート帰り
家まで送って貰った別れ際に言われた言葉だ

高2の春から付き合い始めた光成が
大学進学を機に今春から一人暮らしを始めた
今までだってお泊まりはあったけど実家で
必ず家族がいたし2人きりなのは今回が初めて

1泊用の荷物を詰めて乗り込む電車
結構混んでいて出入り口の
椅子の側面に寄りかかり外を眺めていると
ポケットに入れたスマホが震える

見るとメッセージの送り主は光成で

“もうすぐ家出るよね？
Aの家まで迎えに行く“

メッセージを見て思わず苦笑い
光成はほんと心配性だな。
何回か行ったことあるのに…
でも、心配してくれるのは素直に嬉しいけどね

“もう電車に乗って向かってるよ“

“家出る前に連絡してって言ったじゃん
何時に着くやつ？”

“16時30分かな”

“わかった。北口の改札出たところで待ってて？
　駅まで迎えに行く。”

♪〜次は××駅、××駅、お出口は左側です

光成とやりとりしていたら
あっという間に目的地に着いちゃった

都内からは少し外れたその場所は、各停列車しか停まらないし
駅を出ると直ぐに商店街が広がったような所で
出口も北と南しかないから迷いようもなく真っ直ぐ北口へと向かう

改札の通る前に光成がいないか確認すると
既にその姿はあり壁に寄りかかりスマホをいじっていて
その姿がやけに様になってて“かっこいいな“なんて

「お待たせ」

『大丈夫だった？』

私が声をかけると直ぐに顔を上げると
荷物貸して？と直ぐに私の体から重さが消える
高校の時友達に“檜山くんと付き合えて羨ましい！“ってよく言われたけど
付き合ってる自分も思う。本当に完璧すぎるなって。

空いている方の手で私の手を取ると
自然と指を絡ませて恋人繋ぎが完成して
駅を出て商店街へと向かう

『飯どうする？どこかで食べる？それとも作る？』

こうやって自分で勝手に決めないで
ちゃんと意見も聞いてくれるしね

「んー。何か一緒に作らない？
　あ、パスタとかどうかな？」

『いいね。じゃあ、スーパーあるから寄って帰ろ』