夢寐 Ⅳ (ページ36)

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随分日も落ちてそろそろ帰る時間

『Aちゃん、見て！』

颯太くんに名前を呼ばれて指差す方を見ると
キラキラ光る観覧車

「わー、きれいだね！」

『ね、観覧車乗って行かない？』

あ、これ陸人が行ってたやつだ…
“うっちー遊園地行きたがってたよ“という言葉を思い出した

目をウルウルさせて私の返事を待ってる颯太くんに

「うん！私も乗りたい！」

笑顔で返事をすると“早く行こ！“と
颯太くんは繋いだ手に力を入れて
2人で走って観覧車に向かった

『よかったーそんなに混んでないねぇ』

パーク内に入り観覧車の列を見ると
私たちの前には3組のカップル

待っている間、陸人に聞いたシチュエーションを思い出す
隣に座るとか、上目遣いとか、甘えてみるとか
考えただけで顔に熱が集まってくる
颯太くんは私とキスするためにここに来た訳じゃないだろうけど
やっぱり意識しちゃう

『Aちゃんどうしたの？気分悪い？』

なるべく考えないように頭をブンブンと振っていたら
その様子を見ていた颯太くんが心配そうに顔を覗き込んでくる
“ち、近い…”元から距離感が近い颯太くんだから
何も考えてないんだろうけど今の私にはキツすぎるよ！

「だ、大丈夫」

なんとか声を絞り出すと
パーっと笑顔になる颯太くん

『よかったぁ。あ、次だね！楽しみだな！』

今思うよ、颯太くんが楽しそうでよかったなって！
私はドキドキしすぎてどうにかなりそうだけどね！！