夢寐 Ⅳ (ページ32)

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「RYUさんお待たせしました」

呼ばれて振り返ると俺がいることに驚くA
そりゃそうだAからしたらRYUがいると思ってるんだから

Aがシャワーを浴びてる間、俺とRYUは入れ替わった

『渉くんありがと』

「あー身長高くてよかったわー」

俺と同じくらいの背丈である渉くんに身代わりを頼んだ
“めっちゃいいことしたわー“なんて笑いながら渉くんは
俺の肩に手を置き“頑張れよ“と言って部屋を後にする

あとはAが出てくるのを待つだけなんだけど
待っている時間はひどく長く感じた

「え？竜生なんで？！」

俺の姿を捉えると青ざめるA
そうだよな。こんな姿見られたくないよな

『ん？俺がRYUだから』

ヘラッと笑いながらAに近づき
そっと手を取り引き寄せて彼女の耳元に顔を近づけると

『するんでしょ？俺と』

意地悪たっぷりで言うと俺の腕から抜け出して
顔を真っ赤にして怒り出すA

「なんで！竜生彼女いるじゃん！」

『俺がいつそんなこと言った？』

ほらね直ぐに言い返せないでしょ？
ずっとAは勘違いしてたんだから

「私帰る」

勢い余って出ていきそうになるから
慌てて彼女を追いかけて背中から抱き締める

『ごめんて』

「竜生なんて…嫌い」

『とか言いながら俺のこと好きなくせに
　てか、そんな格好で外出られたら俺、無理なんだけど』

Aは自分の姿を見てハッとする
裸足にバスローブを着た女が出てきたら
一躍街のニュースになるところだっただろう

『ほんと可愛いねAは』

俺の言葉に泣き出したAの涙を手で拭う

「私、竜生が好き…
　でも、汚れてるから私」

『どこが汚れてんの？綺麗じゃん
　俺のこと好きでこんなことしてたんでしょ？
　むしろ汚れてるのは俺の方。
　分かっててなんもできなくて
　これしか思いつかなかったんだから』

「でも…」

『俺の最低加減聞く？幻滅するかもよ？』